2018年 ベストアルバム30選

いい音楽

昨日からこの記事に着手してるんですが、今年聴いてたアルバムを振り返る作業って、自分の1年間を拾い集める作業なんですね。その事に気が付いた瞬間、あと数日で終わってしまう2018年が急に愛おしく思えてエモの濁流に押し流されそうになりました。

今年はかなり意欲的に音楽聴いたこともあって、去年は10枚だった年間ベストもなかなか絞りきれず30枚まで膨らみました。あんまり長くなるのもあれなので、30〜16はさらっとコメントなし、15以降はじっくり選評ありスタイルでおなしゃす!

それではどうぞ!

30〜15位

30. 永原真夏『GREAT HUNGRY』

29. lamp『彼女の時計』

28. 落日飛車『Cassa Nova』

27. 羊文学『若者たちへ』

26. serpentwithfeet『soil』

25. 中村佳穂『AINOU』

24. mabanua『Blurred』

23. パソコン音楽クラブ『DREAM WALK』

22. Superorganism『Superorganism』

21. Petal『Magic Gone』

20. joji『BALLADS 1』

19. 空気公団『僕の心に街ができて』

18. Anderson Paak.『Oxnard』

17. Spiritualized『And Nothing Hurt』

16. uri gagarn『For』

 

15位〜

ここから先は選評付きでどうぞ!

15. Tash Sultana『Flow State』

オーストラリアの女性SSW、Tash Sultanaの1stがランクイン。ループ使って1人で全てのサウンドを組み立てる独特のプレイスタイルと、破茶滅茶にうまいギターと魂の乗ったボーカルが最高。かなりハマってアルバムとライブ映像めちゃめちゃ聴きました。

記事:ループで積み上げる情熱とグルーヴ。Tash Sultana『Flow State』

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14. ROTH BART BARON『HEX』

ROTH BART BARONって『bIg HOPe』とかの神秘的で荘厳なイメージだったのですが、その雰囲気は残しつつ、牧歌的でフォーキーな要素を併せ持った今作。切実でエモーショナルな歌の力をヒシヒシと感じた怪作です。

 

13. Noname『Room 25』

Nonameの『Telefone』はもう2年くらいずっと聴いてるのですが、今作はさらにスケールが広がったなという印象。彼女のラップは聴いていてとにかく心地よい。スムースな譜割と最新のサウンド。ジャズとR&Bとヒップホップを行ったり来たりするボーダーレスな作風も加速していて、その心地よさに『Telefone』と一緒に仕事中のベストBGMでしたね。

 

12. Mom『PLAYGROUND』

2018年らしい音楽という意味では間違いなくSuperorganismとMomでしょう。実にインターネットライクというか、近代ポップスというか、彼の音楽には新しい息吹がある。クラフトヒップホップを自称する彼の音楽はポップで、どこか懐かしい。ストリーミング全盛のこの時代、今後彼のようなアーティストがもっと出てくるだろうなと予想してます。

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11. Middle Kids『Lost Friends』

勝手に2018年のPhoebe Bridgersと呼んでます。恥ずかしながらPhoebe Bridgersの『Stranger in the Alps』をちゃんと聴いたのが今年に入ってからで、あのローファイなサウンドと幽幻な雰囲気が大好きだったのですが、このMiddle Kidsというバンドはそのマナーがあって、その上でロックなエッセンスも持ち合わせている。聴いていてどこか高揚感のある心地よいアルバムです。出会ったのはつい最近でしたがとにかくめちゃくちゃ聴いてました。

 

10. Homecomings『WHALE LIVING』

初の日本語詞に挑んだHomecomingsの意欲作。世界観がとにかく大好きで、それはやはり彼女らが日本語で歌う事でしか表現できなかった世界で、そういう意味では日本語詞は完全に大正解だったと思うわけです。Homecomingsの中では一番好きなアルバムです。

記事:隔たりが生む寂しさと温かさ。Homecomings『WHALE LIVING』

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9. カネコアヤノ『祝祭』

2018年は女性SSWの年だったと思ってます。Mitski、Petal、中村佳穂、あいみょん、そしてカネコアヤノ 。彼女の曲には生活の空気が宿り、ボーカルには途轍もないパワーが込められています。ギター1本、歌1本で戦い抜くそのファイティングスタイルが最高です。

記事:少しだけスペシャルな日常を歌うSSW、カネコアヤノ 『祝祭』

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8. Rubel『Casas』

今年、僕をブラジル音楽の深みへと誘ったのが、何を隠そうこのRubelの『Casas』という作品。ブラジル音楽は日本のアーティストにも影響を与えることが多くて、Lampとかキリンジとかもそうですよね。僕もまんまとハマりました。このアルバムはその中でもMPBと呼ばれる、ブラジリアンポップみたいなジャンルのアルバムで、とにかく心地よい。7月の初夏の陽気に涼やかな風が吹いたような、そんなアルバムです。

 

7. Louis Cole『Time』

Louis Cole『Time』は、今年一番宇宙を感じさせてくれた作品でした。とにかくポップ、鬼ポップ。キャッチーさの爆弾みたいなオープナー『Weird Part Of The Night』に魅了された瞬間に僕らの感性は宇宙までぶっ飛ばされ、もみくちゃに踊ってしまう。宇宙を感じる異次元っぷりと、どこかレトロさを感じるサウンドもグッド。シンプルにサイコーさを感じられるアルバムです。

記事:ゲーム音楽と宇宙的SFと爆発的なキャッチーさ。Louis Cole『Time』

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6. くるり『ソングライン』

くるりの4年ぶりの新作は、くるりらしさが懐かしい、回帰的なアルバムでした。くるりが、くるりでありながら新しさを求めた『THE PIER』『坩堝の電圧』や『琥珀色の街、上海蟹の朝』等の作品とは打って変わって、『ばらの色』『ハイウェイ』のような王道くるりソングが散りばめられた今作。とにかく懐かしさと、胸にじんわりと広がるような岸田の歌声が素晴らしい。何周聴いたかわかりませんが、ある種の中毒性すらあるアルバムです。

記事:王道と進化。くるり『ソングライン』は彼らが辿り着いた原点だと思う。

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5. Jorja Smith『Lost & Found』

2018年一番の歌姫は何と言ってもJorja Smithでしょう。彼女のボーカルは妖艶かつソウルフル、妙な言い方をしてしまうと「高級品」という言葉が物凄く似合うボーカルだと思います。ハード目なR&Bからしっとりとしたミッドテンポまで、彼女の歌は実にフィジカルで、ぴったりと曲と気持ちに寄り添うように響きます。これがデビューアルバムというのだからたまげてしまう。是非ライブで聴きたいところです。

 

4. mitski『Be the Cowboy』

各メディアの年間ベストを総なめにしているMitski『Be the Cowboy』、僕の中でも結果として洋楽の中ではベストという位置につけました。前述の通り女性SSWが華々しく活躍した今年、シンプルに彼女のアルバムが最もパワフルでした。前作と違い、作風にもかなり幅が出てきたMitskiですが、情念のこもったパワフルなボーカルは健在。その切実さと鬼気迫ったボーカルとしての迫力に1発でノックアウト食らいました。こういうボーカルが強い音楽好きなんですよね、僕。

その上であらゆるエッセンスを吸収し、アルバム上で体現してみせた今作。これまでのシンプルなバンド編成から、ライブパフォーマンスにどのような変化があるのか、来年の来日公演が今から楽しみです。

記事:鳥肌モノの歌声と情念。Mitski『Be the Cowboy』

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3. cero『POLY LIFE MULTI SOUL』

もはや世界に通じるバンドとなったcero。ceroの新譜っていつも、良くも悪くも偏差値が高い作品が多いのですが、今作はアフロビートやポリリズムを駆使したこれまた前衛的な作品。ですがそれをずっと聴いていると根底にあるポップスとしての強度に驚かされます。どういうことかっていうと、とにかく踊れるんですよね。リズムは難しいのに、身体は動く、なんならめちゃめちゃ心地よい。世界の民族音楽が持っている「ダンサブル」のエッセンスを掬い上げ、日本語ポップスとして昇華させたのが今作『POLY LIFE MULTI SOUL』なのです。

世界的な音楽潮流と比較してみても全く遅れをとっておらず、むしろ最新のシーンを作り上げる一翼となっているceroというバンドを、日本はもっと誇ってもいいと思うんですよね。

記事:民族的で都市的、ポップスの境地を切り拓く大傑作。cero『POLY LIFE MUTLI SOUL』

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2. 折坂悠太『平成』

今月の頭に観たライブがあまりにも良くて、これはやはり「平成」という時代に打ち立てられた一つの金字塔であるということを再認識しました。民謡、ブルース、ジャズ、R&B、長唄など、あらゆるジャンルがないまぜになって、「折坂悠太」という歌い手の表現として形を得たような作品。平成という時代に流れる豊かさとさびしさ、この時代の空気感がそのまま詰まっている『さびしさ』は心から魂が震える名曲です。

平成はあと僅かで終わってしまいますが、平成に生きた僕らはこのアルバムでいつだって戻ってこれる。そんな至高の名盤です。

記事:歌に宿る身体性とさびしさ。折坂悠太『平成』

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1. 小袋成彬『分離派の夏』

誰が何と言おうと、今年のベストは小袋成彬『分離派の夏』です。

語り出すとどうしても長くなってしまうのですが、まずは日本の音楽を、リスナーも含めて一歩先へ進めたその圧倒的なクオリティ。日本語の響きを重視した彼のR&Bは実に耳あたりよく、宇多田ヒカルの影響もあり、これまでR&Bを聴かなかった多くの層へリーチしました。そういう意味での日本の音楽シーンへの貢献が一つ目の理由。

二つ目の理由はアーティストとしての行動原理的な部分ですかね。極めて私的なエピソードや、自分でも未消化になっている内面の心情を、アルバムとして表現したというこのアルバム。僕らはどうしても表現に高尚さを求めてしまうのですが、アーティストの表現ってもっと自由であるべきで、そういう意味では彼の音楽表現はすごく正しい。でも、これまであまりそういう表現を大っぴらにしてきたアーティストっていなかったんじゃないだろうか。僕らリスナーはそこに共鳴する部分もあるだろうし、シンプルにそこから生まれる音楽の美しさに心震わせる事ができる。来年以降、彼のような表現がもっと現れても良いと思うのだ。

三つ目は単純に今年一番聴いたアルバムだからです。多分全曲歌えます。

記事:以前・以降と語られるべき名盤。小袋成彬『分離派の夏』

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あとがき

こうして振り返るとやはり僕は邦楽の方に耳が寄りがちですね。ルーツが完全にそちらなので当然っちゃ当然ですが。それでも今年は自分史上一番音楽を聴いていて、新作から旧作までかなり手広く聴けた1年でした。ちなみに旧作だと『中村一義』『ブレッド&バター』『広末涼子』『Todd Rundgren』『Jim O’Rourke』あたりをめちゃめちゃ聴きまくってましたね。来年はおそらく引き続きR&Bと、フォーク・カントリーあたりを聴くんじゃないかなと予想してます。

長々とお付き合いありがとうございました。よければ去年のも。

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