鉄鍋のジャン大好きな僕が西条真二『鉄鍋のジャン!! 2nd』のレビューを書きます

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全『鉄鍋のジャン』ファン垂涎の続編、『鉄鍋のジャン!! 2nd』の第1巻である。大傑作である無印に比べ、あまりにも評価の低い『鉄鍋のジャンR』に続くさらなる続編であるが故に誰もが固唾を飲んで見守っていたこの作品の第1巻、僕としてもレビューを書かない訳にはいかない。

始めに結論から言っておくと、少なくともこの第1巻の時点では僕らのような鉄鍋のジャンガチ勢の期待値が満たされることはなかった。とはいえ前作までのファンの心をくすぐるようなシーンも多く見られ、これからに期待がされるというもの。

ひとまずこの第1巻の感想を良い点、悪い点、気になる点の3つに分けて語りたいと思う。

 

『鉄鍋のジャン』のレビューはこちら。よろしければ。

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『鉄鍋のジャン 2nd』のワクワクするとこ

・張られまくる伏線!

まず、今作の主人公は我らが極悪料理人「秋山醤」の正当後継者である彼の息子。となれば必然、醤にも嫁がいるという事になるが、大方の予想通りそれは当然五番町キリコである。今までならまだしも、2ndに至っても彼らのラブシーンが微塵も描かれない点については若干の不満が残るが、そこはこれからに期待である。

問題はその息子も「秋山醤」を名乗っており、父である「秋山醤」を憎んでいるらしいということ!

この巻の一番の見所であるキリコのスパルタ料理修行シーンでは、サイコパスと成り果てた(っぽい)キリコのセリフがより一層僕らの興味をそそる。一体ジャンとキリコの間に何があり、ジャン(父)とジャン(息子)の間に何があったのか。鉄鍋のジャンで初めてストーリーが気になった瞬間である。

 

・懐かしいネタの宝庫

特に餃子の「握り」を披露するシーンは思わずにやけるレベルの嬉しさである。

それ以外にも小此木の息子や湯水スグルの娘、「筍智秀」の東洋楼が登場したりと、懐かしい面々がチラホラと登場する。ちなみに前作までの登場人物でこの1巻においてもしっかりと登場しているのは、五番町飯店の料理長である「五番町弥一」と、神の舌を持つ醤最大の敵である「大谷日堂」、湯水スグルの付き人であった「刈井かりん」のみ。

それ以外のキャラは名前が出てきたり、影で一瞬登場するのみにとどまっており、一応この2ndからの読者も楽しめるようにはなっている。とはいえ前作までを読んでいる方が絶対に面白いし、ぶっちゃけ僕が2ndから読み始めていたならわざわざ前作まで遡って予習しようとは思わない。逆に言えば前作までのファンは懐かしいネタだけでも十分楽しめるということである。

 

『鉄鍋のジャン 2nd』の微妙なとこ

・ジャンの料理が「心の料理」になってしまっている

これは明らかに失敗である。僕らは勝利に執着するジャンの暴力的な料理が好きなのであって、キリコの心の料理はぶっちゃけ二の次なのである。しかも心の料理と言っておきながら他の料理をゴミのように扱ったり、勝負でないと手を抜いたりする。

正直言っていることとやっていることがチグハグで「心の料理」の訳がわからない。

 

・料理のダイナミクスが失われている

一番のガッカリポイントは間違いなくここであろう。『鉄鍋のジャン』最大の魅力である、奇抜な発想から生まれるトンデモ料理とその調理工程が今作においては実に情けない。特にジャンが作った黒酢の酢豚なんて、ほとんど普通の酢豚と変わりない。なんなら感想を聞くに渋谷『月世界』の酢豚と酷似していて味の想像がついてしまう。

僕らが大好きなのはあの「全然味の想像できないけど食べてみてぇ!!!」という気持ちであって、少なくとも第1巻において僕の食欲がそそられることは全くなかった。

僕の料理漫画・グルメ漫画の評価基準は「出てくる料理が美味しそうであること」という一点であり、そこが失われてしまっては料理漫画としては致命的であるように感じる。

 

『鉄鍋のジャン 2nd』の気になるとこ

・監修が変わっている

前作までの監修はおやまけいこという人物が担当していたのだが、今作からは今井亮・ムラヨシマサユキという2名がアサインされている。料理漫画において監修は極めて重要な要素であり、監修が変われば登場する料理が変わるのは当然である。

この新たな2名の監修が鉄鍋のジャンにどのような変化をもたらすのか。もう少し見守りたい。

 

おわりに

これを買うために3軒ほど都内の本屋を巡ったのだがどこにも取り扱いが無く、結局Amazonで購入した。気になったのは『鉄鍋のジャン 2nd』の1巻は置いてないのに、『鉄牌のジャン』の5巻は3軒全てに平積みされていたということ。『鉄牌のジャン』はもしかして流行っているのだろうか。

若干酷評寄りのレビューではあるが、僕の『鉄鍋のジャン』への好意は永久不滅である。この作品の行く末を長い目で見守りたいと思う。頼むから打ち切りになどはしないでいただきたいものである。

 

以前したためた、『鉄鍋のジャン』無印のレビューはこちら

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