西条真二『鉄鍋のジャン』という最高の料理漫画の話をしよう

今日でもマニア的なファンの多い『鉄鍋のジャン』、それに対して続編である『鉄鍋のジャン R』の酷評されっぷりったら半端ないのだが、まさか更にその続編があっただなんて。『鉄鍋のジャン 2nd』連載決定の知らせをTwitterで知り、ものすごく興奮しました。西条先生が『R』で背負った汚名を晴らすべく立ち上がったとしか思えません。

何を隠そう『鉄鍋のジャン』好きの僕。

漫画を読めば読むほど「一番好きな漫画は?」の問いには悩むようになるものの、真っ先に思い浮かぶのはいつだって『鉄鍋のジャン』だ。

今日はそんな、僕が大好きな料理漫画の話をしようじゃあないか。

 

2017/6/9に発売された続編『鉄鍋のジャン!! 2nd』の第1巻のレビューはこちら

西条真二 – 『鉄鍋のジャン!! 2nd』

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8/7現在、バズネタの解説

どうやらTwitterでこのネタがバズっているみたいですね。

これ僕も結構笑ってしまったのだが、要はこれ、主人公のように見える左上のコマの男はただのモブキャラに過ぎない。真の主人公は明らかな悪人顔と暴虐非道な策で料理対決を制そうとしている男の方なのだ。

確かに『鉄鍋のジャン』を知らない人からすれば、どう考えても主人公は左上のやつに見えるよなぁ。いいネタ。

ではその主人公、秋山醤とはどんな男なのか。

 

秋山醤という男

まずは主人公である秋山醤という料理人。『料理は勝負』が口癖。勝つ為にはどんな手段をも厭わないと云う料理哲学を持った彼は、料理というよりも料理対決をする事に特化した男であり、料理対決漫画の主人公に彼ほどふさわしい人物を僕は知らない。

↑第5巻の表紙。この三白眼でギザギザ歯の料理人が秋山醤。主人公らしからぬ人相の悪さが実にたまらん。

この秋山醤、『料理は勝負』という口癖の通り、料理勝負に勝つための料理しかしないという徹底ぶり。

例えば対戦相手の料理がココナッツミルク炒めと知るや否やレンコンの甘いスープを作り、それを強引に先に審査員に食べさせることで審査員たちを満腹にさせ、冷めると脂が分離してしまい、不味くなってしまう相手の料理の評価を相対的に下げるなど、実に戦略的に、時に狡猾に料理対決を勝ち抜いていく。調理中に他人の邪魔をすることなんて当たり前、勝つために幻覚を見せるキノコを使うなんてことも。

だがしかし、そんな彼に同情すべきは、彼の料理哲学のすべてが『中華の覇王』と呼ばれた祖父・秋山階一郎に、「秋山の料理は負けてはならん」と、虐待に近い料理修行を受けていたというバックグラウンドに起因しているという点。しかもその祖父は病気で自分が味覚を失った事を知り、醬の外出中にガソリンを浴びて家ごと焼身自殺するという昼ドラレベルの波乱万丈っぷり。そんな性格のせいで敵を作りやすい醤。というか味方らしい味方は小此木というジャンの親友兼子分みたいなやつしかいない。なんならヒロインですら四捨五入したら敵。基本的に料理漫画において主人公の敵は対戦相手の料理人のはずなのだが、この漫画において醤の最大の敵はなんと審査員である大谷日堂。醤の事を敵視していて、審査の際にも嫌がらせとかするのだが、料理があまりにも美味しいので結局平らげるしなんなら満点もつけちゃうツンデレっぷり。

↑作品中最デレの名ゼリフ『この皿はワヒのもんや』 

 

醤の料理が美味しそうすぎる・・・!

そんな主人公らしからぬ性格の悪さですが、その腕は超一流。料理で勝つためにはどんなに面倒なことも厭わないとこが醤の料理の一番の魅力。料理に使うもやし一本一本に注射でひき肉を注入したり、海老の背ミソを300匹分使ってエビチリを作ったりと料理のためには手間を惜しみません。

僕の料理漫画の絶対的な評価基準として『出てくる料理を食べたくなるかどうか』があるのだが、鉄鍋のジャンは大して絵が上手い訳でもないのに、ものすっごく食べたくなる。各料理や素材の下調べが半端なくて、それに裏打ちされた説得力のある解説と、中華料理の枠にとらわれない斬新な調理方法が、食欲を刺激してたまらない。

『鳩の血のデザート』

『アヒルの足の春巻き』

『飲めるラー油』

『ラクダのこぶのホイコーロー』

『サメのしゃぶしゃぶ』

どの料理も味が全く想像できなくて妄想ばかりが広がっていく料理ばかり。どこかに鉄鍋のジャン再現レストランとかできないものだろうか。

あとは個人的に、作品の最後に主人公が作る料理がダチョウの肉にウジに無数の卵を植え付けさせた擬似霜降りダチョウ肉と、トンボやゲンゴロウをふんだんに使った虫料理である点も料理漫画として唯一無二だと思う所以。どこにどんな下調べをすればこんなアイディアが思いつくのか見当もつかない。

 

『鉄鍋のジャン』を読もうよ

とにかく、鉄鍋のジャンが普通のグルメ漫画とは一味も二味も違うってことがお分りいただけただろうか。続編も始まることだし、この機会に是非読んでみてはいかがでしょう。

2017/6/9に発売された続編『鉄鍋のジャン!! 2nd』の第1巻のレビューはこちら

西条真二 – 『鉄鍋のジャン!! 2nd』

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追記:グルメ漫画について

昨今のグルメ漫画・料理漫画の乱立にあたり、まず理解しておいていただきたいのは、グルメ漫画と料理漫画は断固として違うジャンル漫画である、ということである。どうしても十把一絡げにグルメ漫画として括られてしまう事が多いのだが、『美味しんぼ』や『蒼太の包丁』等に挙げられる料理を作る事がメインの「料理漫画」と、『孤独のグルメ』等の料理を味わう事がメインの「グルメ漫画」が存在しており、全くもって似て非なるものであるという事を忘れてはならない。昨今のトレンドとしては実際にお店などで料理を楽しむパートを描く後者に該当する作品が多いのだが、残念ながら僕の好みではない。

もっと言えば料理漫画には更に細かいカテゴライズがなされており、『食戟のソーマ』『焼きたて!ジャパン』などの王道料理対決系や、『トリコ』『ダンジョン飯』などのファンタジー要素をトリコんだ(トリコんだ!)モンスター調理系、『信長のシェフ』『放課後トラットリア』などの異世界料理系、『新米姉妹のふたりごはん』『花のズボラ飯』などのゆるふわ料理系などがある。今回の記事のテーマである『鉄鍋のジャン』は中華料理をテーマとした王道料理対決系に分類される。(あくまで独自のカテゴライズに過ぎない)

話が実に長くなってしまったのでここで整理したい。

↑わざわざExcelを立ち上げてまで作成した表。

これだけはわかっていて欲しかったので、追記させていただいた。

 

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