松本壮史『青葉家のテーブル』がため息が出るほど綺麗な映像だから見て

良い。とても良い。

EMCの松本壮史が監督を務めた、Youtube限定オリジナルドラマ『青葉家のテーブル』。

「北欧、暮らしの道具店」という、実際に存在する雑貨屋のプロモーションの一環として作成されたこのドラマ。HPを覗いてみると、いかにも無印良品やキナリノといった「丁寧な暮らし」系の雑貨屋さん。そしてその丁寧な世界観を映像に閉じ込めたのがこのドラマ。

何が良いって、服も食器も家具も人も、この映像に出てくる全てが綺麗なのだ。憧れるし、そのシンプルな美しさとシンプルが故の強さにグッとくる。

さらにはサニーデイ・サービス「甲州街道の十二月」が主題歌だと聞けば、見ない理由は1つも無い。



家族の形

あらすじを公式から拝借。

⻘葉家はちょっと複雑だ。シングルマザーの⻘葉春⼦(⻄⽥尚美)、その息⼦のリク(寄川歌太)、春⼦の歳の離れた友達めいこ(久保陽⾹)とめいこの彼⽒ソラオ(忍成修吾)が同居している。⻘葉家の家訓は「何をしてもいいから、夜ごはんは家族そろって」。今⽇もテーブルを囲んで⾊んな話をする。春⼦は “中学2 年で友達0⼈・思春期まっただ中のリク” の⼦育てに苦戦しつつも楽しんでいる。そんなある⽇、リクが「学校に⾯⽩そうな⼦がいた」と⾔い出し……。

なんて事ない平凡なストーリーではあるが、そこは稀代の映像作家・松本壮史。

血の繋がらない他人同士が家族という容れ物の中で共に過ごす。「家族じゃない家族」というのは、ここ最近の国内ポップカルチャーに流れる大きな主題の一つだ。坂元裕二『カルテット』然り、ロロ『父母姉僕君弟』然り。思えばD.O.『家族計画』からその主題は引き継がれているのかもしれない。そしてその在り方はその辺の家族よりも圧倒的に「家族」で、かといって「他人」としての距離感をも持ち合わせていて、その絶妙な関係性に僕はシビれてしまう。

「家族」や「結婚」といったコミュニティの概念があやふやになりつつあるこの時代において、他人こそが一番の家族。そんな主題は、どう考えたってテン年代のムードが生み出した一つのポップカルチャーだ。

最近の君は難しい

君と私を繋ぐ、ぴったりの言葉が見つからないことがしょっちゅうである

そんな中、春子(西田尚美)のこの言葉は「家族」ど真ん中。それも思春期の男の子とお母さんの間にしか生まれない絶妙な関係性。そしてそれをぴったり表現しきる松本の手腕といったらたまらない。

 

夜に窓から入ってくる友達

僕のイチオシはここ。

夜に窓から友達が入ってくる設定って、憧れない?

このセリフが僕のツボを押さえ過ぎていて辛い。

未だかつて窓から友達が入ってくる作品にハズレなどあっただろうか。答えは否、一切の否である。

 

『青葉家のテーブル』の世界

個人的に僕がこの「丁寧な暮らし」に憧れ始めたのは『かもめ食堂』以降だ。特にシナモンロールを作るシーンは今でもずっと頭に残っていて、いつかあのレシピでシナモンロールを焼きたいものだと思っている。

今でこそ市民権を獲得しつつある「丁寧な暮らし」だが、あの概念って誰が作ったのだろう。小川糸?松浦弥太郎?少なくとも僕にその概念を植えつけたのは小林聡美だ。

もう一つ、この作品の世界観に浸るためにご紹介したいのがこのPVだ。

江本祐介『ライトブルー』が良すぎる

何度見返したのか分からないくらい大好きなPV。何を隠そう、このPVの監督を務めたのが松本荘史その人である。前述の丁寧さとはまた違った、青春が持つ一瞬の煌めきを集めたような美しい映像だ。『青葉家のテーブル』にもそういうキラキラした瞬間がいくつも散りばめられていて、やっぱり彼の撮る映像は好きだなぁと思うわけである。

あとは何と言ってもこれ。

Now Playing Vol.7 – 休日のダラダラに最高の脱力系ラップを。Enjoy Music Club『FOREVER』

EMCことEnjoy Music Clubは、MC3名の頭文字を取っているものだが、このMが松本荘史のMだと知っている人は意外と少ない。『青葉家のテーブル』とはまた少し違う世界観ではあるものの、作中のワードチョイスにEMCのエッセンスが隠れていたりするのがニクい。

ストーリー良し、役者良し、セリフ良し、世界観良し、主題歌良し。全てにおいて隙のない最高のショートドラマ。是非とも続編制作希望だ。

 

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