黒岩勉 – 『貴族探偵』

近年の月9の凋落ぷりったらないが、今回の月9『貴族探偵』は面白い。未だどの方面からも面白いと言う評判を耳にした事がないのでもしかしたら僕しか面白さの手応えを得ている輩はいないのかもしれないが、そんな状況にこそ興奮するというもの。僕はこのブログを「みんなが好きじゃないものを好きと言う為に始めた」部分もある。そんな状況であるならば大いに歓迎するところである。

さて、このドラマの事だが、どうやら世間の評価は軒並み低いらしい。主演の相葉くんの演技が酷いだの、ストーリーがめちゃくちゃだの、近年の月9に恥じない酷評っぷりである。そりゃあ確かに今週放送の第4話には賛否両論あるだろう。今までは下手くそながらも事件の解決に必要な事実を示すシーンがあったのに、第4話で佐藤(滝藤賢一)によって解き明かされたトリックには視聴者からしたら何の伏線も無かった。確かにそれは謎解きを楽しみながらドラマを見るタイプの視聴者からしたらとんだルール違反だろう。だがしかしだ、そもそもこのドラマは推理モノではない。番組の最後にも注釈があるように、このドラマはただの貴族コメディに過ぎない。

この注釈の言うとおり、『貴族探偵』はありえないことがいっぱいのファンタジードラマである。そんな一介の貴族コメディの事件のトリックの無粋を責めるというのはお門違いも甚だしい。評価軸がそもそも違うのであって、トリック云々で評価すべきドラマではないのである。

さて、何を隠そう僕は貧乏な主人公がお金持ちばかりの世界に入ってしまう系の作品が三度の飯より大好きである。『花より男子』なんてその典型だし、恋愛シュミレーションゲームである『暁の護衛』の世界観も大好きだった。だがここで言及すべきはやはり執事コメディ筆頭『ハヤテのごとく!』であろう。

 
 
『金色のガッシュベル』『結界師』などの名作と共にサンデー黄金期を支えた支柱の一つである『ハヤテのごとく』だが、この作品の何が面白かったのかを考えてみると、やはりそれは主人に使える執事達の有能さが実に心地よいのである。17歳で美人で有能メイドという超スペックを備えたマリア、幼少期からろくでなしの両親の元で育ったが故に人間離れした能力を持つが超不幸な主人公のハヤテが、不器用な主人の元でサクサクと家事をこなす姿。あれこそが貴族カルチャーの楽しみ方ではないのか。その点、『貴族探偵』に出てくる使用人達は実に有能でコミカルである。事件の再現VTRを瞬時に作り上げる圧倒的な編集力、どんな状況でも『ダージリンのファーストフレッシュ』を美味しく淹れるメイド、特にこのメイドの田中(中山美穂)のフリップ芸とでもいうべき事件情報まとめのシーンがたまらない。全く非現実的なスペックで事件を解決していくその使用人達がこの作品の醍醐味なのではないか。
 
そしてもう1つ、武井咲演じる女探偵の高徳愛香が良い。過去の出演作で酷評されがちな彼女のわざとらしい演技も、もはや演者達がどんだけやり切れるか勝負の体を成してきたこの作品においてはしっくりとハマるのである。彼女の演技が浮かずに活かされるのであれば元が美人な彼女である、十二分にドラマの見所としての威力を発揮している。特に各話一度はある飲酒シーンの素晴らしさったらない。美味しそうにお酒をのむ美人がこの国の宝である事は、大根仁のPOPEYEでの連載『東京タイアップデート』で広く人の知るところとなったはずだ。
 

無論、主演の相葉くんの全く板に付いてない間抜けなまでの貴族っぷりも魅力ではあるが、いかんせん実際のキャラと役とがかけ離れすぎていて違和感が拭えない。今後終盤に向かうに連れて相葉くんの貴族っぷりが熟練の域に達する可能性もまだ十分残されており、この作品からは目が離せないのだがそれ以上に、貴族コメディとして超一流であるこの作品。間も無く折り返しを迎えるが、愛香の師匠(井川遥)の存在といい、未だ登場シーンの無い仲間由紀恵といい、伏線は大胆に貼られており、これからの展開にも期待が高まる。

神回の第6話の感想です。よろしければ。

黒岩勉 – 『貴族探偵』第6話

 

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