日々のこと、2021年11月5日

日々のこと

8月頃からダラダラとこの「日々のこと」と題した日記を再開し、月3本程度のペースで書き続けること早3ヶ月。これくらいなら意外と無理なく続けられている。昔は月に20本とか記事を書いていた時期もあったものだが、今思えば本当によくやっていたと自分に感心してしまう。単純にかけられる時間の差はあれど、当時のこのブログに傾けた熱意はそれなりのものだったな。

継続は力なり、塵も積もれば山となる、雨垂れ石を穿つ。古くから日本人は弛まぬ努力を美徳としてきたものだが、楽して実るならそれが一番だとはつくづく思う。それにこの量質転化が成立するのってあくまで自分の実力や技術面においてのみで、どんなに続けてもビジネスとして成功しないものは一生しないのだよな。ハンターハンターが連載再開されるまで、感謝の正拳突き1000回を毎日続けている人がいる。間も無く丸二年を迎えようとしているこの取り組み。彼の正拳突きの精度や速度は明らかに向上していて、その戦闘力が増していることは疑いようがないが、彼が正拳突きで飯を食える日は来ないだろう。まあ彼のこれはカテゴリとしては「祈り」なので儲けようともしてないだろうけども。

そんなこんなで僕の二週間分の日記をどうぞ。

日々のこと、2021年11月5日

27日水曜日、ずっと行きたかった下北沢『yuzuki』で昼食。本当は『菱田屋』に行こうと思っていたのだけれども、この日は臨時休業だったので泣く泣く諦める。『yuzuki』は見た目はオシャレ、中身はトラッドな定食屋で、近頃は下北に巣食う若者たちにも人気が出始め、土日にでも行こうものなら長蛇の列に並ぶ羽目になる割とサクセスな店だ。実は下北で和食でランチとなると意外と選択肢が少ない。何年か前に往年の名定食屋『千草』が閉店してしまったのが悔やまれるな。この日は唐揚げと迷ってアジフライ定食を注文。衣ザクザク中身フワフワのアジフライが出てきて歓喜した。味噌汁も美味しくて定食としてのクオリティも高く、メニューには安価でお酒がよく進みそうなつまみばかりが並んでいる。今度は夜に飲みに来たいな。

28日木曜日、友人の寺の娘と下北沢『さかえ』へ。本当は最近オープンした『菱田屋』の2号店『菱田屋酒場』に行こうと思っていたのだけれども、この日も臨時休業だったので泣く泣く諦める(10/27〜11/3の長期休暇だそう)。ここはレバーが悪魔的に旨い。完璧な焼き加減でプリッと弾力のある食感が堪らないのだ。レバーが苦手な人はここのレバーを食べて苦手を克服すればいいと思う。この寺の娘は面白いやつで、年に2回会うか会わないかくらいの頻度で食事に行く。実家は寺で海外の高校に言っていた彼女の感性と言語感覚はかなりユニークで、会う度にいつも笑わせてもらっている。いつか彼女が寺を継いだら絶対に寺飲みをさせてもらうんだ僕は。

帰り道に聴いたD.A.N.の新譜『NO MOON』が圧倒的にかっこいい。音像も構成も展開も、とにかく洗練され尽くしている。研ぎ澄まされていると言っても良い。ダークで浮世離れした雰囲気と浮遊感のあるボーカルが続くこのアルバムは、一本のSF映画のような印象がある。それはしなやかで大きな鯨のような手触りで、ぬらりと音の海を泳ぎ回っている。こういう音楽を聴くといつも伊藤計劃を思い出します。人工筋肉の話が実にグロテスクで、あの質感は今も確かに僕の指先に残っている。D.A.N.って意外とこれでまだ3作目なのだよな。いよいよ円熟みが増してきていて、間違いなく日本のトップランナーだ。

29日金曜日、遂に『おかえりモネ』が完結。前作『おちょやん』は途中参戦だったので、初めて最初から最後まで観た朝ドラだ。面白かったかどうかはさておき、ラストシーンが坂口健太郎のイチャラブシーンだったので僕は大満足です。この作品の中では、実らない恋愛も(ただしりょーちんを除く)、叶わない夢も、途絶える歴史も存在しない。ハッピーエンド至上主義の僕からすれば、全てが丸く収まったNHKらしい大団円で終わってくれたのは嬉しい。この話するといっつも『結界師』の良守が使う「真界」という技を思い出すんですよね。良守の思う「完璧な世界」を実現する奥義みたいな技で、僕も全ての物語の結末を「真界」で最高のハッピーエンドに作り替えられたらいいのに。

ネットで噂を見かけて久々に星野桂『D.Gray-man』を読み返す。7巻あたりまでのイラストの美麗さたるや、他の作品を寄せ付けない圧倒的な画力だ。白と黒の美しいコントラスト、希望と絶望のアンバランスさ、そして戦い傷付いていく美麗なキャラクター達。初恋がリナリーだった男の子が一体何人いることやら。確か8巻くらいから休載しがちになり、絵柄も少しずつ変わっていったのだよな。この辺りのジャンプ作品はどこか全体的に腐女子路線(死後)へと舵を切っていて、それが気に食わなくて途中から追うのをやめてしまった。今となってはヤマシタトモコ『さんかく窓の外側は夜』も受け容れられる僕である。先入観なく最新刊まで読み進め、全部面白かったですが、結局一番面白いのは7巻くらいまでだと思います。

父がご馳走してくれると言うので荒木町の割烹『ほりうち』へ。ここは父のお気に入りの割烹で、よく家族で行かせてもらっている。ようやくお酒の提供が解禁され、通常営業が戻り始めた矢先だったそうで、食材的に諸々ラッキーなタイミングだったらしい。そろそろシーズンも終わりだという松茸がコースに散りばめられていて大満足だ。ここの魅力は細やかで丁寧な仕事の行き届いた料理と、それに合わせた素晴らしい日本酒の数々。あまり外で日本酒って飲まないのだけれども、こういう割烹では日本酒一択。よく覚えていないけど7種類くらい飲ませていただいた気がするぞ。ベロベロになって帰ったことだけは覚えています。

30日土曜日、朝からしっかりと身支度を整えて国立近代美術館『民藝の100年』へ。柳宗悦の没後60年を記念されて催されているこの展示。ものすごく重厚な展示で、じっくり観ていたらあっという間に3時間経っていたのには驚いた。朝鮮の陶器と昔から大好きな芹沢銈介の染物はため息が出るほど美しい。膨大な数の民藝品を蒐集し、優れた編集者としての辣腕を振るいその魅力を切り取り、そして後世へと語り継いだ柳の功績にスポットライトが当てられていて、モノそれ自体ではなく、あくまで彼の視点や能力の展示だったのはすごく勉強になったな。彼の生涯はそのほとんどがフィールドワークで、今日本中のお茶畑を巡っている自分にも、少し重なる部分がある。発見、編集、流通。柳の辿ったその道筋と、そう遠くないところに自分の仕事があることを嬉しく思う。

少し歩いて神保町まで出向き、カレーの雄『エチオピア』でカレーをテイクアウトして近くの公園で食べる。確か前食べた時も同じことを思った気がするのだけれども、美味しいけど感動するほどの美味しさではないですよね。神保町には今年色々と物議を醸したかの『神保町よしもと』があるので、公園でネタ合わせをする芸人たちがちらほら。彼らや公園で遊ぶ子供たちや親子を眺めながらカレーを食べていたらあっという間に時間が経っていた。食後に『壹眞珈琲店』でコーヒーを飲んで帰った。今も席で煙草が吸える絶滅危惧種の喫茶店は尊い。

31日日曜日、投票を終えてからマイメン松井と田町で昼食。オフィス街でも学生街でもあるこの町の日曜は閑散としている。行きたい店をいくつか訪ね、そのほとんどにフラれ、結局学生時代の思い出の店『西安』で麻辣刀削麺に舌鼓。昔は躊躇なく頼めていた大盛りに逡巡し、結局普通盛りにした。すごく適度な食後感だったので間違いじゃなかったな。マイメン松井は量を食べられないことを何よりもダサく感じる男なので、彼の前では少しでも食べられる自分でありたいと思っている。

帰ってYoutubeを開くと囲碁将棋の『絶景漫才』の新しいのがアップされていてブチ上がりました。

囲碁将棋はボケとツッコミの境界線が曖昧なのがすごく好きだ。一切コントインしない純漫才(こう言うと又吉が出てたマヂラブANN0を思い出しますね)で、ネタに全く隙がない。気がつけばボケとツッコミが反転していたり、ふとしたツッコミのフレーズがツボに入ったり、とにかくあらゆる角度から笑いを取りにこようとしている。僕の一番大好きな根建のツッコミは「それ左ジャブだよ」です。

投票率は2%伸びたらしいですね。毎度ネットの盛り上がりに対してあまりにも冷ややかな投票率にがっかりしてばかりだったが、2%とはいえ有意な伸びが見えたことにはきちんと意味があると思える。

11月1日月曜日、月の始まりと週の始まりが一緒なのはすごく気分が良い。新たに始まった『カムカムエヴリバディ』は、今のところ面白い予感がしている。今日(8日)なんて15分たっぷり往復書簡で使い切っていて、その尊さたるや『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の第5話のようだ。しかし上白石萌音はなんというか、おぼこい顔をしているよな。拙い英語を頑張って話す様がこんなにハマる役者がいようとは。これで僕は完全に萌音・萌歌の区別が付くようになった。まだ日本にもそんなにいないんじゃないか、見分けられる人。

11月3日水曜日、知人のバンド『yunomi』のレコ発ライブで下北沢Threeへ。文化の日なのでしっかりと文化的に暮らすのである。長いこと苦境を強いられてきたライブハウスで、ドリンクチケットがアルコールへと化ける風景は久々で思わず感動してしまった。おかえり僕らのライブハウス。大学時代のサークル仲間がやっている『bluems』というバンドも出ていて、久々の彼らの演奏がすごく良くなっていてグッときたな。知人がやっているバンドは須く売れてくれればいい。「真界」が使えればそういう世界に作り替えてしまおう。

終わりで知人と『新雪園』へ。本当は『新台北』に行こうと思ったのだけれども、満席だったのでやむを得ない。今まで何人の下北民が「新台北がいっぱいだったから新雪園」へと流れ着いたのだろう。新台北は台湾料理だが、新雪園は中華料理。新台北よりも新雪園の方が少し高いということだけでも覚えて帰ってください。十人ほどで円卓を囲み、たっぷりと頼んだ料理をつつくのは実に楽しい。瓶ビールをしこたま開け、ほろ酔いで帰った。思えば新台北でも新雪園でもビール以外を飲んだことってほとんど無い。紹興酒が楽しめる大人になりたいな。

11月4日木曜日、M-1準々決勝の進出者が発表されている。まあまあ順当なメンツが残っているので驚きはないのだけれども、Aマッソ・コロチキ・四千頭身あたりが落ちていたのは番狂わせかもしれない。3回戦のネタも観たけど確かにスベっていたので順当な評価だ。めぼしいコンビを片っ端からYoutubeで観て、めちゃくちゃ笑ったのはマユリカ・蛙亭・錦鯉・GAG・ゆにばーす・真空ジェシカ・金属バット・男性ブランコ。特にマユリカは爆発的に面白かったので是非とも決勝の舞台で観たいな。クスリと来たのは軍艦・たくろう・ダウ90000・丸亀ジャンゴ・EXIT・ラランド・ななまがりあたりでしょうか。悔しいけどフースーヤのネタを初めて観て爆笑してしまった。あれちょっと問題児すぎる。

11月5日金曜日、学芸大学『VOVO』で夕飯。本当は『双葉』に行きたかったのだけれども臨時休業、その後『すぱいす暮らし』を覗くも満席。流れ流れての『VOVO』でしたが美味しいのでなんの不満もございません。前もお腹痛くなったにもかかわらず、懲りずにビーフを注文。コンビネーションはドライにしました。やはりここはビーフが一番美味しいと思うのだよな。辛くて次の日絶対お腹痛くなるけれども。

金曜ロードショーが『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝』だったので自宅で鑑賞。映像が美しすぎてハッとさせられることがあまりにも多い。あいも変わらず素晴らしいストーリーで、危うく涙が溢れるところであった。その余韻に当てられて、思わずアニメ版の第10話を鑑賞。しっかり泣いてしまったよな。昔から親の愛が描かれたストーリーに弱い。『クラナド』で一番泣いたのも結局親父のところだったし、『おちょやん』では成田凌と母親のあのシーンでしっかり感動している。10話は本当に滝(良いものに触れた時に自然と溢れる形容詞的な意味合いの言葉)なのでサクッと泣きたい時にはおすすめですよ。

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