日々のこと、2021年8月8日

日々のこと

近頃はかつてない勢いで新譜を聴き漁っている。昔から積読が無いと不安になる癖があるのだが、最近は音楽でも似たような気持ちになる。SNSで新譜やリコメンをストックして、時間を見付けてはそれらを片っ端から聴いていく。好きじゃないものは聴き飛ばすが、そうでなければ基本的には最後まで聴き通す。それが今月に入ってもう既に30枚。貪るように音楽を聴く日々は刺激的で素晴らしいのだが、なんだか音楽を消費しているような微かな罪悪感がある。良い曲に出会う度にSNSにはあげるようにしているが、やはり言葉を尽くしてレビューを書いていた日々と比べると密度は落ちるよな。

記憶に残っているのは、わがつま『第1集』平井堅『あなたになりたかった』MONO NO AWARE『行列のできる方舟』安倍勇磨『ファンタジア』Hiatus Kaiyote『Mood Variant』DYGL『A Days In A Haze』奇妙礼太郎『ハミングバード』Clairo『Sling』Mom『終わりのカリカチュア』、シングルなら浦上想起『甘美な逃亡』佐藤優介『UTOPIA』cero『Nemesis』あたりだろうか。罪滅ぼしのアルバム列挙を許して欲しい。

ライブにはちょくちょく行っていて、感動したのは森道市場で観たザ・なつやすみバンドとnever young beachとくるり、豊洲PITで観たKID FRESINOとceroのツーマン、新木場COASTで観たROTH BART BARONの単独『Bear Night』だ。特にCOASTの前座のWool & the Pantsの絶望的なまでに酷い演奏とceroとの対比はライブにおける演奏力について深く考えさせられるきっかけになったな。

ライブの良さって大きく3つあると思っていて、①楽曲それ自体の素晴らしさ②個人の持つ突出した演奏力③バンドとしてのアンサンブルの素晴らしさだ。①はなつやすみバンドから、②はcero『街の報せ』で披露したフレシノのラップやアイナ・ジ・エンドの歌声から、③はceroやROTHから感じさせてもらった。特にROTHはとんでもないな。ここ一年で三回ほどライブを観ているのだが、毎回編成とアレンジが変わっていてその度に感動してしまう。異様な手数のドラム(工藤明)と変態的に絡み合う2本のリードギター(OKADA TAKUROと西田修大)、何種もの楽器で音圧を肥やすホーン隊。明らかに過剰なパーツ数でありながら、それを感じさせない絶妙なアレンジとアンサンブル。そこにseihoのアナログシンセ、原田郁子のキーボと歌声までもが加わって、音の津波に飲み込まれるようなあの音楽体験はもう日本最高峰と言っても全く過言じゃあない。ROTHに取り憑かれた知人は僕の知る限り東京で催された彼らのライブに全参加しているが、それもまた然りと思わせる凄みが今のROTHにはある。そういうライブって、きっと何度観たって飽きることはないのだろうな。

本題に入る前にこんなにも長々と書いてしまうのは長らくブログを書いてなかったからだろうか。時にオードリーのANNの久々のオープニングトーク、よかったですね。一時期は時短と称してオープニングトークだけを聴いていたほどの愛好家である。それが良いか悪いかはさておき、大好きなのだから仕方あるまいよ。

せっかくなのでここ1週間の話でもしよう。

日々のこと、2021年8月6日

月曜日、ブログ時代の友人夫妻の家で夕飯。今もこうしてブログを書いている以上「ブログ時代」っていつなのかとは思うのだけれども、このブログを通じて出会った友人たちをどう呼べばいいのかをいつも決めあぐね、結局「ブログの友人」とか「ネットの友達」と括ってしまう。かつては隔週で会う機会があったのだが、このご時世なかなか会う機会もなくて寂しい。自分の趣味嗜好をネットの海に垂れ流すような狂気を孕んだ友人たちは皆どこか変わっていて、僕は皆大好きなのだよ。

最近引っ越した彼の新居はすごく雰囲気のある部屋でとても居心地が良い。ガジェット好きな彼らは家具にもやはりこだわりが強くて、椅子もデスクも壁も床も他の家とは一味違う。人の良い二人の人柄が現れたような素敵な部屋で、やはりそういう人らの家は見てるだけでもすごく楽しく、積もる話も多々あって思わず長居してしまった。お邪魔しました。また遊びましょう。

水曜日、銀座で仕事の打ち合わせがあり、夕方のワクチンまでの空き時間を喫茶『集』で潰す。『集』の接客のレベルは極めて高い。お好きな席にどうぞと言ってくれる喫茶店の尊さたるや。注文時の受け答えも、Wifiのパスを教えてくれるスムーズさも、トイレに席を立った時の自然な誘導も、何もかもがちょうど良い。時に、「とんでもないことでございます」という接客用語がスラリと出てくる御仁には問答無用で敬意を払ってしまうよな。それが街の喫茶店で聞けるなんて。日本のおもてなし文化の粋は『集』にあった。昔アメリカのステーキハウスで、男性のスタッフに何かをお願いした時の返答が「Absolutely」だった時にも同じ気持ちを抱いた。「Be my pleasure」ですら滅多に聞かないのに「Absolutely」。素直な気持ちでチップを多めに置いていったよね。

ワクチン会場までは歩いて20分ほどだったので、久々にGRを持って散歩。皇居沿いを歩きながら何枚かシャッターを切り、数枚満足いくものが撮れた。

Sonyの一眼を買ってからというもの、GRのフォーカスの遅さとズームができないもどかしさに気持ちが離れていたものの、やはりこのカメラはちょっとすごいのではと思わされる。黒の写りと機動性は随一だし、初めて買ったカメラというバイアスも多分に加わってGRリバイバルの機運高まれりだ。

木曜日、ワクチンの副反応でぐったり。38度台の発熱と関節痛が酷く、何をする気にもなれないので、Netflixに早々に追加された『大豆田とわ子と3人の元夫』を鑑賞。青春ゾンビのヒコさんの大フォロワーを自称しておきながら、坂本裕二作品を『花束みたいな恋をした』と続いて未鑑賞だった罪悪感が大きく払拭された代わりに、なぜこんな面白い作品を見逃していたのかという罪悪感でプラマイゼロである。

というかこの作品、めちゃくちゃ面白いじゃあないか。伊藤沙莉(オズワルド伊藤の実妹!)の剽軽なナレーション、3人の元夫たちの欠落具合の愛おしさ、共に自由奔放に暮らす大豆田とわ子と綿来かごめの美しさと対比には思わず胸がいっぱいになってしまった。話題になっていたエンディングの素晴らしさは元より、「ロマンティックあげるよ」を口ずさむ松たか子のミューズっぷりにはガッツポーズである。あとドラマって今こんなに映像綺麗なんだね。コントラスト強めのくっきりとした感じは僕が写真で目指す美しさそのものだし、暖色の感じがとにかく大好きである。

時にみなさん、M-1の一回戦が続々とアップされ始めましたね。我らが真空ジェシカが圧倒的な1位通過を決めていて誇らしい気持ちになりました。近頃はYoutubeの台頭によって公式からの供給が潤沢なのがありがたい。反アルゴリズム派の僕もその点だけは感謝せざるを得ないよな。真空ジェシカ未修のみなさんは是非チェックを。好きなネタは『ペーパードライバー講習』『グラデーション転校』『サワムラー』です。ちなみにガクのメガネが一回り大きくなっていると思ったのは気のせいじゃないですよね。銀色細フレームはそのままにレンズのサイズだけ大きくなってるの、なんだかシュールでそれも面白かったです。

日曜日、朝からの雨で少しげんなり。とはいえ日曜日の僕はちょっと違う!(挫・人間、元気でやっているだろうか)と、去年の梅雨時からポチポチと組んでいた雨の日用のプレイリストを編纂。足掛け一年強、ついに完成しました。雨の日の過ごし方が数年間定まっていなかったのだが、ついにこれで僕の雨天に対するアティチュードが固まったように思う。ムードとしては「雨の週末。家でゆっくりと過ごしながら雨上がりを待つ。雨が上がれば街に出る」みたいなことを意識して作ったので是非。

去年からちょくちょくTwitterに日記をあげているのだが、去年の9月26日の僕の雨についての日記は未だに僕の金字塔だと胸を張れる会心の出来だ。日記はここ数年、僕の中で一番ホットな書き物なのだよな。青春ゾンビのヒコさんスカート澤部氏in the blue shirtのアリムラ氏古賀及子さんあたり、尊敬する日記ライターの皆さんの日々を覗き見ながらつらつらと綴る僕の日記。よかったら是非読んでやってください。

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