『Enjoy Music Club』ことEMCとは、言わずと知れた最高の脱力系日本語ヒップホップユニットである。
実はこのEMCというのはMC3人の頭文字をとってEMCとなっているのだが、そのEこと江本裕介が作曲、Mこと松本壮史が作詞を手がけたのがこの『ライトブルー』である。更にはこの曲のPVは映像作家としての顔も持つ松本が手がけているというのだから、EMCファンとして避けては通れないポップチューンである。
2017年のベストソングダービーを恐ろしいまでの初速で先行逃げ切りキメちゃうレベルの大名曲、そしてその最高の青春群像を描いたPVの話をさせてくれ。
秀逸なPV
まずはとにかくこのPVを見てほしい。
「たまらん・・・」の一言に尽きるんだこれがまじで。ワンカット撮影でこそ成立するライブ感。高校生活の思い出の中のキラキラ部分だけを抽出して5分弱にギュッと凝縮させたような最高の映像体験に、僕の口角は上がりっぱなしである。
文化祭、制服、屋上、部活、告白、そしてダンス。踊る高校生って何でこんなにも良いんだろう、別に高校時代踊ったりしてなかったのに。チラホラと一瞬だけ映り込む様々な部活に打ち込む学生たち。バスケ、バレーボール、剣道、演劇部。高校の部活時代なんて戻れるチャンスがあるならどう足掻いたって戻りたいじゃないか。ましてやこんなPVを見せられたら思い出さずにはいられない。僕の青春は水泳部。今も記憶に染み付くプールに波打つのはまさに『ライトブルー』である。
そしてEMCの江本氏の作曲とあらば、楽曲と詩についても折り紙つきだ。
鮮やかな色した景色の中で 光よりも早く
僕らは走り出すのさ 未来へ向かって ふたり踊ろう
この歌い出しから既にたまらない。THE 王道ポップスの直球ど真ん中の歌詞。深読みの余地なんて少しもありゃしない。ただただ君と踊りたいだけなんだ。
柿ピーみたいになりたいね
君が柿で 僕がピー
Enjoy Music Club – 『ナイトランデヴー』
僕がEMCで一番好きなのはこの歌詞なのだけれども、人様が口にしようものならサイコパス感が漂ってしまうこんな歌詞も、EMCにかかれば夏の終わりを彩る極上のポップソングになる。そんなEMCの作詞センスはきっちりとこの曲にも散りばめられている。他にも「強めの魔法にかかったみたい」とか、「3センチくらい浮いてるよ」とか、思わず恥ずかしくなってしまうようなとむず痒さと、そして誰もが容易に想像できてしまうリアリティのある歌詞。どこまでも等身大の言葉は僕らに感情移入の余地を多分に提供してくれて、360度全方位に開かれた普遍的な世界観。それでこそ王道ポップスだ。
サウンドはというと、EMCで見せるようなサンプリングやオマージュ多用のヒップホップらしさはなく、ストリングスとピアノを中心にこれまたポップスの王道を突き進むアレンジ。あっちこっちからいろんな楽器が鳴っているごちゃごちゃした感じが高校の文化祭っぽい感じがあって最高。ちゃんと全力でキラキラしていてたまらない。
江本祐介『ライトブルー』PVも含めて100点満点、至高のポップス作品である。
『ライトブルー』と繋がるカルチャー
色々と紹介したいものはあるのだが、『ライトブルー』が大好きな青春ゾンビの皆さんに響くのは、やはりシンプルに王道青春系だろう。
言わずと知れた不朽の名作『プロポーズ大作戦』。この作品がリアルタイムで放送されていた時、僕はまだ中学生でイマイチピンとこなかったものの、大学を出て社会人になった今見ると完全にヤバい。第3話の野球部の卒業式のシーンで悶えない青春ゾンビはいません。
UKの若手バンドINHEAVENの『Stupid Things』もこれまた最高。記事にも書いたけど、僕はこのPVを会社で見てしまって必死に涙を隠しました。
→全青春ゾンビ必聴必涙の第名曲、INHEAVEN『Stupid Things』
ラストはこれまた最高に甘々な少女漫画、河原和音の『高校デビュー』。僕が少女漫画を読み始めるきっかけになった最高の作品。本当に最高だから今すぐ全巻買った方がいい。
男だけど、男だからこそ、河原和音『高校デビュー』で胸キュンしまくってほしい
おわりに
まだこの曲しか江本祐介個人名義の楽曲が無いのが残念でもあり楽しみでもある。EMCの今後と共に続作を心待ちにしまくりである。
*2018/1/12
ゴッドタンのマジ歌選手権で、バカリズムがこの曲を元ネタにして歌ったらしいですね。メンバーもラップしてて最高。
このPVのメイキング映像がこれまた泣かせるんです。