奇妙礼太郎のメジャー初アルバム『YOU ARE SEXY』に収録されている『恋愛重症』に関する記事なのだが、あまりにも良すぎる。アルバム通して良いのだがこの曲だけ格が違う。バカ最高じゃねぇか。
今日は稀代のロックスター、志磨遼平が奇妙礼太郎に提供した名曲『恋愛重症』について語らせてくれ。
しかし奇妙は相変わらず人の曲が上手いな。
志磨遼平という男
毛皮のマリーズは愛のバンドである。
これに関しては賛否あるだろうし、それら全てをひっくるめてマリーズに対する正しいイメージだとは思うのだが、僕の印象は一言、「愛」というイメージに尽きる。
君と僕との距離 それがこの世界の直径
そしてそれを縮めてく人類の歴史
– 『愛のテーマ』
ねえ、Mary Lou どうすれば
君だけのために生きていけるの
本気だよ、Mary Lou
– 『Mary Lou』
そして私は私より私と呼ぶべきガールと恋に落ち
– 『ビューティフル』
志磨遼平が書く歌詞はどれも恥ずかしいくらい真っ直ぐに愛を語り、これでもかというほど僕らの胸を打つ。歌にはありのままの感情が乗っているし、彼という人間がいかにロマンチストであるかが一発で聴いて取れるのだ。
そしてこの曲『恋愛重症』は、そんな志磨遼平の真っ直ぐな歌詞と奇妙礼太郎特有の女々しさが見事に融合し、奇妙っぽくもありマリーズっぽくもある最高の楽曲なのである。
↑公式のアー写。アンプに足をかけ、実に男らしい。
奇妙礼太郎という男
奇妙礼太郎といえば、『君が誰かの彼女になりくさっても』を聞けば一目瞭然の事であるが、天性の女々シスト(造語)である。この曲のクレジットが彼自身ではなく『ワンダフルボーイズ』のものである事はもはや誰もが知るところであるが、彼が歌う『君が誰かの彼女になりくさっても』には楽曲とは分量外の未練や切なさが爆盛りであり、彼の女々しさが正真正銘の本物であることは誰の目にも明らかである。
元来彼の歌はソウルフルというか、感情を隠すことなく時には優しく、時には声を荒げながら歌いあげる自由奔放で感情無加工ノーフィルターなスタイルこそが奇妙流である。そしてその奇妙流のボーカルがこの曲においては極限まで歌詞と絡み合い、至上の女々ソング(造語)が完成している。その伸びやかでストレートな歌い方は毛皮のマリーズ時代の志磨遼平を彷彿とさせ、歌い出しの時点で楽曲提供者の影をバリバリに感じる仕上がり。あとちょっと忌野清志郎っぽい。
奇妙にしては珍しくギターが全く入らない、ピアノのみのシンプルなサウンドも、その暴力的なまでのメロディの良さ、そして歌詞の良さを引き立てているし、感情の起伏がダイレクトに反映されるのがまた素晴らしい。奇妙が好きな人も、志磨遼平が好きな人も、どちらをも満たしうる最上の楽曲なので全員聴いて欲しい。Apple Musicにもあるから。
そして最後に、殊更に素晴らしい2サビの歌詞を書き起こしてしまうこの暴挙を許して欲しい。
恋愛重症
熱を計れば 君よりもほら 高いでしょう
知らずに伝染ればいい
君にバカだよ 愛してる もう手遅れさ
こじれた甘い病
おわりに
昔渋谷の安居酒屋で奇妙礼太郎を見かけたことがあるが、顔めっちゃちっさかった。