『スカート』を聴くと胸がぎゅっと締め付けられる。
相変わらずとんでもない切なさ成分の含有量である。一体澤部渡の130kgの巨体にはどれほどの切なさが詰め込まれているのだろうか。
これから寒くなっていく秋の口。寒い季節にぴったりなスカートの、10/18に発売されるメジャー1stアルバム『20/20』から『視界良好』のMVが公開された。
スカート『視界良好』
今作のPVは『CALL』『静かな夜がいい』に続き、
降り注ぐ大量の青い花
柴田聡子『後悔』よろしく走る車から顔を出す少女
ダッシュボードに狭しと並べられたカセットテープ
特にこのシーンの美しさには思わずハッとする。やはり東京インディーには団地が良く似合う。この不文律は何者にも侵すことはできない。
思えば『CALL』においても『静かな夜がいい』においても主人公である三浦透子の頭上には何かが降り注ぐ。そしてそれらのアイテムは同様にPV共通の公約数であるもう一人の少女との繋がりを表すものであった。『静かな夜がいい』では屋上から落ちる純白のシーツが彼女の視界を遮り、『CALL』では無数の砂の入った封筒が砂浜のシーンへの導入の役割を果たしている。
『CALL』の最後のシーン、二人の少女が持っていた白いシーツは『静かな夜がいい』において登場し、今回の『視界良好』の冒頭で彼女が破り捨てた手紙はもしかすると『CALL』に登場した封筒と関係があるのかもしれない。となると青い花はまた次の作品に登場するのだろうか。物語がどこかでリンクするこの作風で伊坂幸太郎のそれを思い出した。
楽曲はというと相変わらず最高の一言。尋常でなく独創的なコード進行に乗るグッド・メロディ、相も変わらず冴え渡るカッティング、サラサラと耳を流れていく切ない歌詞と世界観。
遠回りばかりずっとしてたけど立ち止まる事にも意味はあったんだ
インディー三銃士と呼ばれて久しく、ゆっくりと時間をかけてメジャーデビューに至ったスカートが歌うこのメロディにはグッとくるものがある。
そしてこのPVの最後のシーン。海辺でスーツケースとボストンバッグを海に投げ捨て、打ち捨てられた自転車に乗って走り出すシーンはどうにも『CALL』のこの歌詞を想起させるのである。
背負い慣れた重い荷物 ほどいてまた歩き出した
寂しいけど 好きな歌を
どうやって忘れようかと
『視界良好』、良いよ
毎年涼しくなってくるとキリンジとスカートとLampが聴きたくなる僕である。
あとはスカート・トリプルファイヤーと共に「インディー三銃士」とも呼ばれるミツメの最高のシングルも、温度感がミツメらしい最高の良曲なので是非。
→トリプルファイヤーとOGRE YOUR ASSHOLEの2マンを観た
あとはスカートの澤部渡も大絶賛の2017年の超大型ルーキー『東郷清丸』も要チェックなんじゃない?
今月の18日に発売されるスカートのアルバム『20/20』も実に楽しみである。