弟に『Thundercat』のベース、更にもう一つ下の弟に『The Internet』のキーボを持つ最強の音楽三兄弟の長男である『Ronald Bruner Jr.』(以下RBJ)。『Prince』や『Kendric Lamar』などのバックでドラムを叩いていたという華々しい経歴を持つ最強のドラマーである彼のプレイに、去年の『Kamashi Washington』の来日公演で心を鷲掴みにされて首ったけの僕は1も2も無くチケットを買いました。
一言でいうと間違いなく最強のドラマーです。こいつ以上に8ビートをかっこよく叩けるドラマーを観たことはないです。
去年の『Kamashi Washington』の来日公演の記事です、よろしければ。
→Billboardで『Kamashi Washington』を観た
感想
この日のメンバー構成はギター、ベースにキーボード2人、ドラム、そしてRBJである。ドラマーのソロ名義での来日公演であるにも関わらずドラマーを連れてきちゃうとこがお茶目でキュート。
そしてこれがメインのドラムセット。
通常のドラマーの倍はあろうかというパーツの数々。中でも目を引く2フロア、3バスドラは完全に初見の組み合わせ。僕らはかなり早めに並んでいたためこのドラムの目の前、最前の席だったのだが、結果的にこの席が間違いなくベストシートだった。
開場から一時間ほどでプレイヤー登場。前回は人外の体躯を誇るカマシのバックで叩いていたせいか小柄なイメージがあったのだが、僕の目は節穴か。カマシと比べれば幾分か小さく感じるものの、ちゃんちゃらおかしい、余裕の巨漢である。
そしていよいよ待ちくたびれたRBJのドラムが聞けるその一曲目である。
泣く子も黙る超爆音。
あの1音目、間違いなく会場の全員がビクッとした。ここ数年聞いたこともないような爆音でひたすら叩く叩く。とにかく彼の爆発的な音量とパワーと手数とグルーヴにひたすら圧倒される。音圧といいテクニックといい、ドラムという楽器の全てを鳴らしきるとこんな音が鳴るのか、なんて思わされる程、他のドラマーとは格が違いすぎる。そして自身名義という事だけあって、自由奔放にとにかくめちゃくちゃ叩きまくる。でもそれがグルーヴィーで最高にかっこいい。ドラマーにここまでのカッコよさを見たのは14年のフジロックのMANISH BOYSの中村達也以来である。
特に最後の一曲、アルバムでは弟のThundercatが参加している『Take The Time』という曲なのだが、このRBJは正に鬼神である。今まで散々めちゃくちゃやってきたってのに、ここに来てまさかの普通の8ビート。しかも歌いながら。そしてこの8ビートが最強、最強以外の言葉が思いつかないくらい完璧な8ビートなのだ。重戦車のような重厚なサウンド、スネアは雷のように鋭く鳴って、とにかく僕が見た中で一番の8ビートで、とにかく最強だった。最強という言葉がこんなに似合うこともなかなか無いなと思った。
おわりに
3曲目でまさかのピンボで歌い始めた時は「え、今日この後ずっとこれ?」と思った人が大多数いたはずである。ボーカルももちろん下手な訳はないのだが、僕らが聞きたいのはあくまで彼の神がかりな津波のような轟音ドラム。彼が元のドラムに収まった時には誰もが胸を撫で下ろしたものである。
現世で間違いなく最強クラスのドラマーの来日公演、見逃さなくて本当に良かった。暫定、今年観たライブの中で間違いなくトップの感動です。
去年の『Kamashi Washington』の来日公演の記事です、よろしければ。
→Billboardで『Kamashi Washington』を観た