フジロック’18 2日目

いいライブ

観たいアーティストが目白押しの2日目。

台風の予報もありつつ、日中は持ちこたえたものの、やはり夜にかけて雨脚が次第に強くなり、深夜には暴風を伴ってキャンプサイトに壊滅的な被害をもたらした2日目でもある。テントをボコボコにされ、あまりの風の音にゆっくり寝ることもできず、この夜はここ7年で最もタフな夜であった。

とはいえ今年の2日目は実に豊作で、観たいアーティストに困るレベルの好ラインナップ。そんな僕のフジロック2日目を振り返ろうじゃないか。

シャムキャッツ

ミツメに続いて結局好きなものを観てしまうやつVer.2。

朝は車を出して温泉まで行っていたため後半しか聴けなかったのだけれども、『すてねこ』やってて珍しいセトリだなと思っていたら最後に『渚』をやってくれて、控えめに言って最高だった。『渚』はシャムキャッツの中でも本当に好きな曲の一つで、未だにライブで聴いたことが無かったので間に合って良かった。

夏のドライブにぴったりなので聴いたことがない人は是非とも聴いてみて。

 

eastern youth

昨年の土曜日一発目のグリーンは『サンボマスター』でしたが、今年は『eastern youth』がその枠を務めました。

楽しみにしてはいたものの、激しくなりそうな前線には行くまいと固く心に決めていた僕ですが、『ソンゲントジユウ』『街の底』と近年の代表曲を立て続けに繰り出された瞬間にモッシュピット入りしておりました。本当にありがとうございます。

その後も『荒野に進路を取れ』や『青すぎる空』『雨曝しなら濡れるがいいさ』と往年の名曲、そして最後は『夏の日の午後』で締めくくるという、オールタイムベストのようなセットリスト。

吉野の実に泥臭い叫ぶような歌とギンギンのギター。2015年に加入したベースの村岡の化け物じみた上手さも合間って、驚くほどに男泣き力が増している。街の底で澱んだ現代のブルース。eastern youthの慟哭がグリーンを震わせたのを感じました。

悪い訳がないとは思っていたが、よもやこんなにも心に来る音楽を奏でるバンドだとは思わなかった。

 

The Birthday

シャムキャッツに続いて結局好きなものを観てしまうやつVer.3。

2〜3年前のマーキーで観た時、あまりのカッコ良さにシビれまくったThe Birthday。御歳50を迎えるチバユウスケはいくつになっても全く変わっておらず、相変わらずのチバ節。

ロングキャリアも相まって、やはり彼らの演奏はバンドとしての完成形に到達しているという感想。

 

小袋 成彬

今年の邦楽アーティストの中で一番楽しみにしていた小袋成彬。

音源でも明らかだったその歌唱力は、生で聴くとさらに圧倒的なものとして僕らの胸を震わせました。前週に観た森山直太朗よりも歌が上手いかもしれない。

前半はただただ同期を流して彼が歌うというカラオケスタイル。後半からはシンセとギターの二人を呼んで半バンド演奏状態。ライブを通してMC一切なし、ライブパフォーマンスらしいパフォーマンスも全くなく、ただただ歌唱力一本で戦い抜くその決意たるや。そしてそれに足りうる圧倒的な歌唱力。情感たっぷりに歌い上げられるその歌には魔力が宿り、何度鳥肌を立てたかわかりません。

そして度肝を抜かれたのはフジファブリック『若者のすべて』のカバー。宇多田ヒカルとの共作にも表れるように、彼に色濃く流れるJ-POPのルーツを感じる意義のあるカバーだったと断言してしまおう。

友人が言っていた「私小説のようなアルバム曲を観客に聴かせるというよりも自分自身に歌い聴かせて咀嚼するように歌っていた」という感想がとてもしっくりきました。

以前・以降と語られるべき名盤。小袋成彬『分離派の夏』

 

SUPER ORGANISM

恐らく今年一番の注目度を誇った超新星『SUPER ORGANISM』

実に現代的でポップでクラフトな音楽を楽しみに集まった観客は、レッドマーキーのキャパを優に超え、それを予想していた僕らはあらかじめマーキーで待機していたものの、次々押し寄せる観客にもみくちゃにされ、嫌気がさして出てきてしまった。

仕方なくオアシスで音漏れを楽しんでいましたが、それを聴く分には音源を大きく超えるような何かは無かったように感じます。もちろん曲自体がものすごく良いのでそこは十分すぎるパフォーマンスではありますが。

1月の来日公演も行こうか迷うな。

 

SKRILLEX

本当にスッ君は頭が悪い。

小細工など一切なしに繰り出される分かりやすいEDMの数々。四捨五入したら1時間以上やってたことずっと一緒だよあれ。次第に雨脚は強まったものの、その不快感は終始縦ノリに徹した彼のプレイに吹き飛ばされました。

YOSHIKIの出演は事前に知っていたものの、別に世代でもないし、『MGMT』がどうしても観たかった僕らはYOSHIKIの出演前にグリーンを去りました。

 

MGMT

今年リリースされた新譜がドンピシャだったMGMT。正直な話、新譜以外だと知ってる曲って『Kids』しか無かったのだけれども、それでも十分に楽しめた。

何故なら客がいい。

MGMTの客ってみんな心の底からMGMTが大好きなのだ。イントロが鳴った瞬間の歓声とか、MGMTを見つめる観客の表情とか、踊りまくってる姿とか、そういうのをトータルで見て素晴らしいと思える抜群のライブになっていたのだよなぁ。

下馬評通りの決して上手くない演奏ながらも、楽曲の持つパワーと楽しそうな観客でフルに楽しむことができた1時間であった。

ちゃんと新譜以外も聴こうと思ったよね。

 

KENDRICK LAMAR

何と言っても今年の大本命ラマケンさん。キャリアとしての頂点を迎えたその姿を一目見ようと集まった観客はグリーンステージを一杯に埋め、そのステージはピューリッツァー賞も大納得の圧倒的なステージでした。

バックバンドを従えてはいたものの、彼らはステージの両脇に配置され、グリーンの広いステージに立つのはMCのKendrickただ一人。端的に言ってあれは「カリスマ」であった。

身一つマイク一つで数万に及ぶオーディエンスを煽り、時にシンガロングさせる。その一挙手一投足に、世界を背負って立つヒップホップスターとしてのプライドと自信が漲っているかのような圧倒的なステージング。

嵐も近づきつつあり、かなり過酷な環境ではあったものの、気がつけば1時間強に及ぶステージはあっという間に終わりを迎え、終盤の『Alright』からの『HUMBLE.』で会場のボルテージも最高潮に。ビッグスターとしての存在感を遺憾無く発揮した最高のライブに、世界的なヒップホップ全盛の潮流の根幹を感じました。

この世界的スターの脂の乗り切ったステージを目撃することができたのは、今年のフジロックの一番の収穫でしょうね。

 

おわりに

2日目のベストアクトはどう考えてもラマケンさん。

TylerとかDrakeとかChanceとか、ラッパーのライブがもっと観たいなぁ。

フジロック’18 1日目

フジロック’18 3日目

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