気象庁が東京の梅雨明けを告げた7月19日、奇しくも我らがネバヤンの3rdアルバム『A GOOD DAY』のリリース日である。その事に偶然以上の何かを感じたのは僕だけではないはずである。
僕らのような若者にとっては最早夏の風物詩と言っても過言ではないネバヤンのアルバムリリース。彼らの音楽が僕らの心のみならず東京中にまで夏を呼び込んだとなれば、それはやっぱり「イイ」よなぁ。
感想
さて、3rdにしてメジャーデビュー作となった今作『A GOOD DAY』、まずサウンドからして過去作である『YASHINOKI HOUSE』『fam fam』とは違う。
ネバヤン音楽の代名詞とも言えるギターのテケテケサウンドが圧倒的に少なくなっており、全体からバンド感が感じられるようなサウンドである。ギターは歪んでるし、ベードラのタイトさは増している。以前までのトロピカルな雰囲気はそのままに、ネバヤンらしい明るさが少し大人びたようなイメージである。
アルバムの1曲目『夏のドキドキ』でこんな歌詞がある。
100年後も 1000年後も 夏のドキドキは止まらないだろう
真っ直ぐでバカっぽくていい歌詞。サウンドが変わっても、大人になっても、夏のドキドキだけは止まらない。ネバヤンのコンセプトとも言える「常夏感」は健在だと言わんばかりのこの曲。このアルバムの1曲目に、これほど相応しい曲は他には無いだろう。
『夏のドキドキ』に始まり『CITY LIGHTS』までの流れは、バンドの演奏の幅を知らしめるかのように起伏に富んでいる。再録されている『散歩日和に布団がぱたぱたと』なんか思いっ切り、1stの時とは違うバンドの一面をこれ以上なくわかりやすい形で提示してくれている。
そして何と言ってもリード曲『SURELY』が最高である。
リフや歌メロの雰囲気がどことなく、くるりの『ロックンロール』を彷彿とさせる爽やかな疾走感溢れるナンバー。底抜けにハッピーって感じの曲ではなくて、日々の瞬間瞬間を切り取るような歌詞からは寂しさや切なさも感じることのできる、正に成長し続け、変わり続けてきたネバヤンの”今”を表現したような曲である。
悩ましい僕らの日々は転がって
なんてちょっとネバヤンらしくない歌詞も飛び出るし、
このまま時間が止まればいいのにな
なんて2番で歌った後の大サビでは、
どこまでも行けるさ 揺るがない心があれば
なんて歌ってくれる。
ちなみに僕のイチオシはここである。
広がる青空 脱げたサンダルはどこかへ行った
目の前にその情景が一発で浮かぶような、楽しさと切なさがないまぜになる夏という季節をバチッと切り取ったような歌詞である。作業をしながら聞いていてもこのフレーズだけはハッと耳に飛び込んでくる。
ふと気になって調べてみると、このMVの監督である奥山由之という人物、ファンファン加入直後のくるりのアルバム『坩堝の電圧』やシングル『Remenber Me』のジャケットを手がけた方らしい。僕の感性も捨てたものではないらしい。
↑なるほど確かにどことなく似ている。
ここ最近のうだるような暑さの時にこそ聞きたいネバヤンのニューアルバム『A GOOD TIME』
過渡期という言い方は釈然としないが、変化の真っ只中にいるネバヤン。これからもシーンの中心にい続けて欲しい。
おわりに
フジロックで観るのが実に楽しみ。