居酒屋『開花屋』がすごい。
何がすごいって、外国人のお客さんの多さである。もちろん料理がとんでもなく美味しいと言うのもすごいのだが、来る人来る人みんな外国人。常に満席だったお店のお客さんの内、半分以上が外国人だったように思う。
去年1年間に日本を訪れた外国人観光客は2400万人強にも及ぶらしく、ざっと計算しても日本の人口の約20%もの人が日本に来ているという計算である。当然旅行中ともなれば財布の紐は緩むはずであって、無形文化財にも登録されてる和食は、間違いなく観光客の目的の一つのはずだが、日本の飲食店の大部分はその準備ができていないような気がするのである。ところがこの『開花屋』は一味違う。
まずテーブルについて目に入るのが英語で書かれたおすすめメニューとルールの説明書き。そして「Free Wi-Fi」のパスワードである。カフェにおいては標準装備となりつつあるが、居酒屋にWi-Fiが通ってるっていうのは珍しい気がする。もちろんメニューも英語のメニューが完備されており、店員さんにも英語が話せる人がいる。話せない人でもお刺身の説明とかは最低限覚えてきていて、拙いながらもちゃんと英語で一種類ずつ説明してあげている。僕が居酒屋でバイトしてた頃は、マグロやサーモンは分かっても、白身魚は難しいので全部White Fishだと言って出していたので関心してしまった。
英語が話せるというのは難しいかもしれないけれども、Wi-Fiとか英語のメニューなんかは少しお金をかければすぐに用意できる。Wi-Fiがあればゲームのログインボーナスを取り逃がすこともないだろうし、少なくともその2つがあるだけで海外のお客さんがどんどんお店に来てくれる。ひいては外国人にフレンドリーな居酒屋ってことで口コミで拡がったり、ガイドブックに載ったりするかもしれない。事実このお店には外国人が次から次へとやってくるわけだし、戦略の勝利である。
外国人に「Izakaya」が人気というニュースは以前どこかで見かけたが覚えがある。けどそのニュースを受けてじゃあ外国人取り込んで行こうよって力を込めてるお店は少ないように思う。外国人観光客の取り合いは市町村とか都道府県レベルでは加速してるかもしれないけど、居酒屋レベルではまだまだ遠く感じていたが、案外ブルーオーシャンなのかもしれない。AIと一緒、やったもん勝ちである。
後付けっぽくなってしまったが料理も超美味。特にマグロのカマのスペアリブはここ数ヶ月で一番の絶品。詳しくは下を読んでください。
外観はヤバ目。壁・ドアがイラストやらステッカーやらにびっしりと埋め尽くされている。写真は撮ってないが内装も外観に劣らぬカオスっぷり。こういうごちゃっとした喧騒っぽい雰囲気の方が外人さんも入りやすい気がする。
まさかのJack Johnsonのサイン。壁に直書きされていてその周りに額縁がついてる。ちなみに2014年7月25日は、彼がヘットライナーを務めたフジロック2014の1日目。余談だがフジロックの彼の演奏はマジ最高だった。
刺し盛り。全部美味しかったが、特に「大トロ寄りの中トロ」と「赤身寄りの中トロ」の美味しさが段違いだった。
蛸葱じゅーというメニュー。鉄板に蛸と葱と鰹節乗せてタレかけて焼いただけのシンプル料理だがマジ旨。火が通ってるのにタコが柔らかいという怪奇現象に襲われる。
この日のベストアクト。マグロのカマのスペアリブ。タレのポテンシャルがやばい。瓶で欲しい。
シメの炒麺。こんがりと焦げ目のついた麺がこれまた旨すぎる。パクチーとの相性が抜群に良い。
この日は4品だけの注文だったのだが、魅力的なメニューが多すぎてオーダーの選定に苦労した。実際頼んだものは全部美味しかったのでまた来て全制覇したい。
おわりに
すべての飲食店が観光産業に力を入れるべきだとは思わないが、群雄割拠の飲食業界においては観光客を取り込むっていうのは手っ取り早く売り上げに繋がる施策だと思うので、もし僕が飲食店をやってたら試してるかも。ましてやこの『開花屋』は創業1985年、すでに30年以上渋谷に店を構える老舗。そんな老舗が外国にも目を向けて柔軟に経営してるっていうのが驚き。
何にせよ料理は美味しいしお店は活気あるしで最高の飲み屋だと思うので是非。