2023年のふりかえり

雑記

2023年を大きく総括するとしたら、それはラジオとハロプロの一年だった。それ以外に覚えていることはかなり少なくて、ブログも書かず、SNSも滅多に更新しない自分の一年間が、こうも容易く失われていくことに愕然としている。

昨年常に心のどこかにあり続けた、「来年(2024年)こそはブログを書こうと思う」という積年の思いを、忘年会の折に後輩に打ち明けたところ、「去年から同じこと言ってる」と言われてしまったので猛省。誰も読まずとも僕は読むのだから、書くだけ書いておけばいいものを、怠惰が全てに勝ってしまった昨年は、ついぞあらゆる執筆活動を行わずに年が明けてしまった。

自分の昔の文章を読み返してみても、僕は僕が過ごした日々を忘れてしまうことを常に恐れている。人は忘れてしまう生き物だからと、日記を書くことの大切さを説いておきながら、今では平気でそれを怠ってしまう。気持ちを強く保つこと、目の前の欲求を撥ね除けること、行動を積むことの難しさたるや、年々実感を伴って思い知らされるばかりで情けない。

そうして今、文章を書くぞと鼻息を荒げ、気持ち新たにキーボードに向き合うものの、なかなかどうしてこれぞという文章は出てこない。瑞々しさがないというか、よく使う引き出しから取り出した馴染みのある語彙だけでなんとかやりくりしているような感覚で、面白みがない。やはり常日頃から新しい言葉を取り入れ、吐き出すことが肝要なのだと気付かされる。

数年ブログを書いてきた僕が考える、いい文章を書く秘訣は、読み続けることと書き続けること、そして毎回ちゃんと全力で書くこと。言うは易く行うに難しいこの3つは、今年と言わず今後もずっと守っていきたい習慣だ。

そのリハビリも兼ね、去年の自分を大雑把に整理しておきたい。

アイキャッチは駒沢公園で撮った、何かしらの鮮やかな実。

ラジオ編

例年との違いで最も顕著だったのは、咋年はラジオ聴くのに忙しく、音楽をほとんど聴いていないことだろう。

空気階段の踊り場、マユリカのうなげろりん、霜降り明星のANN、ハライチのターン、ダイアンのTOKYO STYLE、マヂカルラブリーのANN etc…

定期的に聴くこれらのタイトルに加え、時折寄せられる神回の報せ。その度にスポット的に聴くラジオも数多く、とにかく時間が足りない。数あるコンテンツの中でも、ラジオが最も脳の容量を空けたまま消化することができる訳だが、音楽との折り合いは最悪。昨年は僕の大好きな音楽が、僕の大好きなラジオによってそのシェアを奪われたという、悲しい三角関係の結末を迎えてしまった。

そんな三角関係を成立させるためには、僕が両者に同じだけの愛を注ぐしかない。という訳でこの冬からは、特に予定がなければ歩いて帰るようにしている。1時間くらいなら歩いて帰るし、30分なら喜んで歩いて帰る。積んでいるアルバムやラジオを聴きながら歩き、気が乗れば道中のコンビニでビールなど買って飲む。酔いは適度に覚め、積聴(僕の造語)も消化でき、運動にもなる。この習慣をなんとかモノにして、耳の可処分所得を少しでも拡げられるようにしたい。

備忘録的に、昨年良かったラジオの話を二つほど。

『ほら!ここがオズワルドさんち!』ヤジマリー。ゲスト回

‎ほら!ここがオズワルドさんち!:Apple Podcast内の#127【本編】ヤジマリー。ヒストリー(中学~大学入学編)
‎ほら!ここがオズワルドさんち!の番組、エピソード#127【本編】ヤジマリー。ヒストリー(中学~大学入学編)-2023年9月20日

芸人好きの友人から「めちゃおもろい」との報せを受け、初めて聴いたオズワルドのラジオ。このスカチャン・ヤジマリー。が出ている回は魂が震えるほど面白かったな。

『さんまのお笑い向上委員会』で時折見かけるくらいの印象だった彼の、幼少期からこれまでの笑いとエピソードに満ち満ちた人生。一つ一つのエピソードが俄には信じがたいほどドラマチックで、ユーモラスで、彼のWikipediaが存在しないのが信じられないほど。映画にすれば4部作は必要になるだろうし、自伝を書けば麒麟・田村もかくやのヒット作にもなり得る。それくらい濃密でエンタメな彼の人生を、彼自身の言葉で辿る1時間(本編・アフタートーク合算)。笑いあり、涙ありで感情を大きく揺さぶられ、この1時間が去年で一番高揚した1時間だったとすら思う。これを聴いて彼を愛さない人なんていないはずなので、ぜひ一度騙されたと思って聴いてみてください。

『空気階段の大踊り場』

厳密にいえばラジオイベントなのだけれども、ラジオの延長線としてご紹介。

今年はとにかく『空気階段の踊り場』ばかり聴いていて、2017年からのバックナンバーを1から聴き直していた。そんな番組のイベントのチケットを、見事友人が勝ち取ってくれて参戦してきたのだけれども、これがもうなんかスゴすぎて胸がいっぱいになってしまった。これを書いているちょうど今日、ラジオ本編でこのイベントの様子が流れているのでネタバレを恐れずに記してしまおう。

もぐらのダイエット成功に始まり、最高のボルテージで始まったこのイベント。僕が感動したのはユニットコントと『あいつ、今頃何してる?』の流れ。

まずはユニットコントで、うだつの上がらない日々を過ごすかたまりを訪ねる、それぞれ未来のかたまりに扮したもぐら・岡野陽一・光石研。それぞれが迎えた悲しい未来を変えるため、過去の自分に会いに来るという、どこか定番的なコントを披露。

そして続く『あいつ、今頃何してる?』では、かたまりが大学を中退するその要因を作った張本人である中川くんが遂に会場に現れる。奇しくも近しい業界で働く彼は、芸人となったかたまりやもぐらと社内のエレベーターで会ったこともあるという。

当時の謝罪を受け容れつつ、彼のいじりがきっかけで芸人になれたことから、感謝の気持ちを伝えるかたまり。そしてもぐらと岡野陽一が出した最高のパスである。

もぐら「なんで心折れたかって言うと、返しがなかったってことなんだよね。

– 中略 – 

ジャガイモ星人なのかって言われて何も言えなくて、それが嫌で辞めてるってとこもあるんです」

岡野「あれじゃない?今だったら12年やってるから返せるんじゃない?」

そうして2人で繰り広げられる、14年前のあの日のやり直し。その2人のやりとりが僕には、まるで中川くんが未来から過去のかたまりを救いに来たように思われて、過去のトラウマを清算し、今一度芸人としての誇らしいキャリアを歩みだすかのようなかたまりの姿には、思わず目頭が熱くなった。

そしてどこまで狙い通りなのかは定かではないが、ユニットコントからここまでの構成を作り上げた作家陣の手腕に脱帽。所詮ラジオイベントと軽んじていた僕の胸は、この歴史的ともいえる完璧な仕事に撃ち抜かれてしまったのだ。

空気階段という歴史を汲み取り、執念のフィールドワークでもって形を成し、そこにサプライズと少しの偶発性を加え、あとは演者に託して世に放つ。これぞクリエイティブワークの最高峰だと思わせてくれた最高のイベントであった。マジで踊り場は人生。

今週中ならradikoで、以降もおそらくPodcastで聴けると思うので、ぜひに。

音楽編

さて、ラジオばかり聴いていたとはいえ、当然音楽も最低限は聴いていた。

昨年リリースで特によく聴いたのは、日食なつこ『はなよど』、工藤将也『硝子戸の中』、CRCK/LCKS『総総』、パソコン音楽クラブ『FINE LINE』、台風クラブ『アルバム第二集』、Laufey『Bewitched』、cero『e o』、Itallo『Berlim』、生活の設計『季節のつかまえ方』、石若駿『Songbook6』、yosugala『ヨモスガラ』 etc…

こうして振り返ってみても、新しい音楽を探すというよりも、元から自分の好きな音楽と、その周辺を長く愛した一年だった。

ライブにも変わらず足を運んでいて、思い出せる限りで言えばこの辺り。

Ginger Root、AURORA、Ride、生活の設計、家主、羊文学 、Tohji、the chef cooks me、Rex Orange County、Gilles Peterson、Into it. Over It.、フジロック、ロッキン最終日、朝霧JAM、全感覚祭

特に良かったのは家主、the chef cooks me、フジロックで観たLizzoだ。特にthe chef cooks meのライブには強く影響を受けたように思う。なんとなく昨年僕の心にずっと在った「瑞々しさ」と「踊り」というキーワードはここから得たものだ。これに関してはまだ手探りなので割愛。

そしてここに、僕の2023年を彩ったハロプロの音楽が加わる。

ハロプロ編

ハロヲタの恋人の影響もあり、今年はとにかくハロプロを深掘った一年だった。ハロプロの何がいいって、とにかく皆歌が上手いこと。基本的に僕は曲から入るタイプで、曲が好きでよく聴くがメンバーは1人も知らない、みたいなことも度々なのだが、ハロプロは曲の良さもさることながら、メンバーの技量が高く、歌の上手さという高ステータスでシンプルに殴ってくる感じが心地よい。音源以上にライブでシビれさせてくれるのが圧倒的に強い。

構造としては、新規ファンが入りやすいアイドルではないとは思う。ユニット数も、それぞれのメンバーも多いし、歴史が長い分曲数も膨大。しかもユニットのどれか一つにでもハマると、自然と他のユニットにも目が行くように設計されているので、自動的に6ユニットにハマることになるのが完全に沼だ。サブスクに音源が無いので、基本的にはYoutubeでライブ映像を漁るしかないのも厄介なところだが、公式からの供給が多いのはせめてもの幸いだろうか。とはいえこのハードルの高さって、ハマった後の深掘りの余地でもあるのだよな。動画を漁り始めたら止まらないのが、今となってはありがたい。このコンテンツ量の多さも、昨年音楽をあまり聴かなかった一つの要因である。

昨年は現場・配信でライブにも手を出し始め、4月のひなフェスを川切りに、アンジュルムのリーダー・竹内朱莉の卒コン、ロッキン最終日のハロプロ祭り、Juice=Juiceの10周年武道館(川嶋美楓ちゃんのお披露目めちゃくちゃ泣きました)、つばきファクトリーのリーダーである山岸理子と岸本ゆめののW卒コン、ハロプロ25周年コンサート、そして極め付けはモーニング娘。のリーダーを長きに渡り務め上げた譜久村聖の卒コンと、簡単に挙げただけでも結構な数に参戦してしまった。

今や僕はライブの度に泣いてしまうし、卒業の報せの度に心に大きな穴が空いてしまう。佐々木莉佳子の卒コンは確実に観に行きたいし、植村あかりの卒業に至ってはまだ受け容れられていない。余談ですが2020年のソロフェスで彼女が披露した『愛はまるで静電気』が良すぎるので全員U-NEXTに加入して観るべきだと思います。

今時点での推しを挙げさせていただくと、井上玲音、段原瑠々、植村あかり、橋迫鈴、川村文乃、伊勢鈴蘭、松本わかな、櫻井梨央、小田さくら、北川莉央、河西結心、山崎夢羽(敬称略)。ユニットで言えばJuice=Juiceが一番で、次点でアンジュルム、そこにモーニング娘。が続き、つばきファクトリー・BEYOOOOOND・OCHA NORMAは横並び。その中でもビヨはパフォーマンス力が非常に高いので、楽曲に期待しています。彼女らに最高のポップソングを作ってあげてください。

ついに先月ファンクラブにも入った僕である。今後もしばらくハロプロ熱は冷めないだろうし、今後はこうしてきちんと文章にも残しておきたいな。

とりあえず僕の大好きな曲、アンジュルム『愛すべきべき Human Life』をご覧ください。

その他編

もちろん映像や漫画にも触れてはいたが、一つ一つ取り上げていると大変な文量になってしまうので箇条書きにて供養。

アンナチュラル、ガンニバル、Walking Dead、ウ・ヨンウ弁護士は天才肌、べいびーわるきゅーれ、東京ヒゴロ、ダイヤモンドの功罪、すみだ水族館、名探偵津田、阪神タイガース、オモコロチャンネル、板橋ハウス、M-1

一つ一つにしっかりと感動したはずなのに、こうして味気ない紹介だけで済ましてしまう僕の怠惰を許しておくれ。あなたたちは今もしっかりと僕の血肉となっています。

カルチャーとコンテンツの不摂生をし続けた2023年も、こうして振り返ってみればそんなに悪くなかったような気になるから不思議だ。

毎年年末になると皆年間ベスト系の記事が沢山書いてくれていて、一年間のキャッチアップにはもってこいなのだけれども、他人の視点を先に入れてしまうことが怖くて、今慌てて昨年の輪郭を掴もうとしている今日この頃だ。

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