無駄と言葉遊び。松本壮史『青葉家のテーブル』は第2話も素晴らしい。

曲げわっぱのお弁当、ほうれん草のおひたしに散らされた鰹節、納豆にはネギを欠かさない。そんな些細な映像ににいちいち心を動かされたかと思いきや、揚げ物にビールという黄金律をニクい配置でぶつけてくる。

第1話から首を長くして待つことおよそ4ヶ月、待望の第2話はその期待を裏切らない最高の映像、キャスティング、そして言葉遊びである。特に終盤の短歌のきらめきは思わずため息を吐くような美しさ。たった16分の中に、僕の琴線を震わすあらゆる要素が揃っている。

松本壮史『青葉家のテーブル』がため息が出るほど綺麗な映像だから見て

 








青葉家のテーブル 第2話『君の好きなとこ』

第1話からの大きな変化はなんと言っても、ラバーガール大水のキャスティングだろう。

何を隠そうこの僕、ラバーガールが『エンタの神様』に出ていた頃からのファンである。大水の狂気すら感じるキャラ作りと、飛永の冷静で距離感のあるツッコミ。そしてコントを通して2人の距離感が一切縮まらない感じが大好きなのだ。

コント中の大水は大体ぶっ飛んだキャラを演じているのだが、彼が凄いのはそこに一切の違和感がないこと。あのクレイジーさはもはや天然なんじゃないかと疑うほどに、そのキャラクターを演じきるその高い演技力が彼の持ち味である。

そしてその演技力は『青葉家のテーブル』の中にもバッチリ活かされている。

テンパって予定外のプロポーズをしてしまう大水、少年野球が好きすぎて初デートで試合に連れて行く大水、訳のわからない少年野球論を語る大水。どの大水もバッチリクレイジーさが板についていて、演技に浮ついたところがない。「やっぱりこいつ、やばいやつだな」という認識を更新する会心の演技だ。

いろんな狂気を纏った大水を堪能したければ、是非ラバーガールのコントを見よう。(余談ですが飛永、ここ数年でものすごく太りましたよね。)

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さあさあ今回のこの話、ポイントは何と言ってもめいこ(久保陽⾹)に振り回されるソラオ(忍成修吾)である。その構図は不思議系女子とボンクラ系男子の恋模様を描いた熊倉献『春と盆暗』にも通づるところがあって文句なしに最高なのだけれども、今回はこの軽い寄り道で済ませておこう。

渋谷系ド真ん中、ボーイ・ミーツ・ガールの傑作、熊倉献『春と盆暗』

さて、めいこのデートに不安かつ卑屈になったソラオは、自らを鉛筆のお尻にある消しゴムだとか、崎陽軒のお弁当に入ってる杏だとかに例える。それは、彼女にとって自分が「あってもいいけど無くても困らないもの」だと考える、実に卑屈な発想なのだけれども、そこで登場するのが喫茶店のメニューに添えられた短歌(三浦直之による提供)だ。

「本日の短歌」と銘打って、メニューの黒板の下に毎日添えられたソラオの短歌。それは「むっちゃ無駄なやつ」であり「暇だったから勝手に連載していたもの」であり、つまるところ「あってもいいけど無くても困らないもの」だったはずだが、蓋を開けてみればそんな無駄が2人を繋いでいたという見事な演出。

思えば『青葉家のテーブル』において、短歌はいつも人を繋いでいる。春子(⻄⽥尚美)とめいこの夜の歌会も、めいことソラオの出会いも、どちらも短歌が繋ぐ人と人の営みであり、特に第2話に出てくる短歌の素晴らしさったらない。ロロ主宰・三浦直之のエッセンスをビシバシと感じるキラッキラの言葉たち。趣味で作ったと語る彼の短歌のそりゃあもう良いこと。

柿ピーの柿とピーナッツの割合であなたと会話したい(自分はピー)

なんて、『ナイトランデヴー』の歌詞そのまんまだ。(これだけ「本日の短歌」ではなく「本日の気持ち」)

最終的にはオタクへのレクイエム的な描写もあり、僕のような人間は実に救われる。松本壮史と三浦直之の作る映像は毎度抜群だなぁ。

 

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