Now Playing Vo.6 – 雪降る街を歩きながら。住所不定無職『ジュリア!ジュリア!ジュリア!』

「こういう時このアルバム(音楽)くそ響くよ!」を提供するNow Playing、第6弾は住所不定無職が2013年にリリースした最高のアルバム『Gold Future Basic,』から『ジュリア!ジュリア!ジュリア!』をピックアップ。

わずか6回目にして「この企画連載ではアルバムしか取り上げないっ!」と自らに打ち立てた誓いを破る意志薄弱っぷり。とはいえこのブログはあくまで僕のブログであって、「僕が書きたい時に書きたいものを書くんだい」という頑固親父的一面も愛して欲しいのだ。



寒の戻り

よもやこの時期にあそこまでの雪が降ろうとは誰が予想していたものか。いくらなんでも寒が戻り過ぎだ。

とはいえ都内で降雪がピークを迎えていた頃、僕はといえば幡ヶ谷のPaddlers Coffeeでコーヒーを嗜みながら、少しずつ結露で曇っていくガラス窓から雪を眺めていた。理由はひとえにこれである。

軒先に植えてあった桜は既に少し芽吹いていて、「雪と桜を同時に楽しむ」という俳人であれば思わず一句読むレベルの風流空間にいたのだが、冬と春のどちらの季語を使えば良いものかと思い悩んでやめた。

しかし雪というのは不思議なもので、モスクワに一年半住んでいた経験のある僕でさえテンションの高まりを抑えきれない。笑ってしまうくらいの吹雪であっても、積もらない程度の粉雪であっても雪が降った日のスペシャル感たるや。傘を持つ手はかじかむし、ブーツの指先は凍りそうなくらい冷たくなるものの、灰色の空に舞う白い雪の美しさは、どうしたって僕らをワクワクさせて止まない。

そして折角雪が降ったのだ。雪の日の音楽を聞かなくては勿体ない。

 

雪の日の音楽

さて、雪の日に皆さんはどんな音楽を聞きますでしょうか。

桑田佳祐『白い恋人達』か山下達郎『クリスマス・イブ』か、それともキリンジ『千年紀末の雪』か、はたまたくるり『夜汽車』かPerfume『マカロニ』なのか。どれも正解だ。だが完璧な正解ではない。

クリスマスを過ぎてから聞くクリスマスソングなんて野暮だし、ワクワク感と誰かに会いたくなるあの気持ち、喜びと切なさが同居したあの雪の日の気持ちをぴったり表現した曲というのは、そうそうあるものではない。

ところが今日、僕は出会った。もうこの際だ断言してしまおう。住所不定無職『ジュリア!ジュリア!ジュリア!』こそ、この世で雪の日に最も相応しい曲である。

 

『ジュリア!ジュリア!ジュリア!』

アルバムを通してこの曲を聞いていた時にはあまり冬っぽいイメージはなかったのだが、ふと予感に駆られてこの曲を聞いた瞬間、僕は僕自身を全力で褒め称えた。これほどまでに雪の日の僕の気分に沿った曲があっただろうか。いや、無い。

のっけから全開のオーケストラサウンド、中低音まで豊かに鳴るスネアのマーチング感、幾重にも重なるコーラスライン。その全てが雪の日の持つスペシャルでセンチメンタルな情景とぴったり重なってもう僕の心はどうかしてしまいそうだ。

当然歌詞だって抜群に良い。なんせ歌い初めから最高だ。

真夏に始まる恋じゃなかった

君の夢ならまだ見てんだ

「真夏に始まる恋じゃなかった」なんて恋の終わり方、切なくって、だけどポップで。のっけからこんなパンチラインをお見舞いされたらそれはもうたまらない。

そしてやはり特筆すべきはサビだろう。

ジュリア! ジュリア! ベイビーワンスモア!

ジュリア! ジュリア! ベイビーダンスモアアゲイン!

ジュリア! ジュリア! もう

プリーズミー! どうかしてるよ

昼間に幡ヶ谷を歩きながら聞いていた時はあまりにも興奮していて、「何度も繰り返されるジュリアは降り積もる雪へのメタファーだ!」などとあまりにも意味不明な事を考えていたけど今は大分落ち着いています。断言します。何度も繰り返されるジュリアは雪へのメタファーです。

とはいえ、実はそれもあながち嘘ではなくて、このメロディが繰り返される度に段々折り重なっていくような印象がある。それは恐らくコード進行によるもので、裏で鳴り続けるシンセサイザーを聞いているとそれがよくわかる。一つ目のコードより二つ目、二つ目よりも三つ目の方が「ヒシヒシと迫ってくる感」がある。僕の語彙にこれを的確に表す言葉がないのが非常に悔しいところだが、要は聞けば聞くほど切なさが募っていく感じだ。

大サビはひたすらこの最高のサビの繰り返し。ズンズンと大股で街を歩きながら聞いたならば、僕はもう無敵である。

2人並んだオールナイトロング

考えたラブレターに

何度も唱えた言葉はホーミタイト!

なんて渋谷系ど真ん中の歌詞もあれば

5回まばたきしたら君がいないかな?

追いかけたドラマのように 

も一度ぎゅっと抱きしめて

なんてハッとさせられるような切ないフレーズも飛び出す。

雪の日の街歩き。ただでさえスペシャルなワンシーンを、さらに最高の時間に変えてくれるのは住所不定無職『ジュリア!ジュリア!ジュリア!』に他ならない。

 

おわりに

『GOLD FUTURE BASIC,』は歴史に残る最高の名盤なのですが「このアルバムのレビューはレコード5000枚くらい聞いた人じゃないと書けないよ」ってどこかの有識者が言っていたので、僕もアルバム5000枚くらい聞いてから書きたいと思ってます。

『スカート』の澤部がゲストで参加していたり、未だにアーティスト界隈でも非常に評価が高かったりと、とにかく一度聞いて欲しいアルバムです。Apple Musicで聞けるので是非!

 

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