ポップスのド本命、ayU tokiO『新たなる解』という金字塔について

年の瀬のランキング系記事ラッシュの時期に妙に名前が挙がるこの『ayU tokiO』

曰く、テン年代以降のポップミュージックの大傑作。

曰く、2016年の叡智がここにある。

ここまで言わせしめるayU tokiOの1stアルバム『新たなる解』、この時代のポップミュージックの最新鋭にして最頂点。この極上のポップスの話をさせてくれ。








『ayU tokiO』について

この『ayU tokiO』というバンド、猪爪東風(イノツメアユ)という人を中心に結成されたバンドらしく、何がすごいって猪爪の経歴が凄い。

2007年ごろから様々なバンドで活動を行い、アーティストであると同時にバイクを愛し、また様々なアーティストから愛されるギターのリペアマンだという猪爪。POLTAやthe chef cooks meに在籍していたこともあるらしく(the chef cooks me といえばアジカン後藤がプロデューサーについていたこともあり『回転体』をバッチリ聞きまくっていた僕である)他にも柴田聡子のエンジニアや、ソロプロジェクトなども経験し、満を持してスタートしたのがこの『ayU tokiO』というバンドなのだそう。

記事:小春日和に純ポップスを。the chef cooks me『回転体』

 

ayU tokiO『新たなる解』

さて、猪爪の経歴をしっかり理解した上での感想だが、アルバムのオープナー『恋する団地』の1フレーズ目からしてとんでもない。

秘密の中へ 僕も一緒について行ってもいいかな

というフレーズで始まるこのトラック。「秘密の中」はこのアルバム自体の暗喩であり、「一緒について行ってもいいかな」と続く。そしてこのアルバムのタイトルは『新たなる解』。ポップスの新境地に至らんとする彼の覚悟と、このアルバムに対する自信の表れた最高のオープナーじゃあないか・・・!

たっぷりと贅沢にコーラスを盛り込み、管楽器やフルート、ストリングスまでもがとんでもなく緻密な計算の上に配置されている。その上に自由に、時にはその枠組みから外れてるんじゃないかと思うくらいの奔放な詞が乗るのだが、その歌詞がまた計算され尽くしている気がするのである。さりげない押韻やふんだんに盛り込まれた色彩がその脱力したボーカルと耳障りのいい声でさらりと歌い上げられる。

その心地良さと世界観にたっぷり魅了されて1分20秒、こんなフレーズが飛び込んでくる。

21世紀の世界はこんなに素敵さ

ああ!もう!たまらん!まるで西脇順三郎が『天気』で自身を神と称したような圧倒的な自信をこのフレーズから感じるのである。そしてこの歌詞が示す通り、ポップスの新境地を切り開くような1曲目から、僕の胸は高鳴りっぱなしである。

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そんな『恋する団地』から全10曲、そのいずれもが全く違う要素を含んで鳴り響く極上のポップス。捨て曲無しのこのアルバムが大傑作と絶賛されているのも頷ける。個人的には『乙女のたしなみ』と『ちょっと一息』が本当にたまらん。サラッと聴けるアルバムの中でこの2曲のサビが持つ黄金色の響きと言ったら、ちょっとため息が出ちゃうレベルだ。

東京メトロは彼を連れてくるわ

-『乙女のたしなみ』

ちょっとタバコ一本だけど火なんて持ってないのね

-『ちょっと一息』

文字に起こしてしまうと途端にその輝きが失われてしまうのが本当に口惜しい。ポップミュージックはミュージックだからこそ良いのだ。

よく珠玉のポップスとか、極上のポップスという言葉を耳にするけど、このアルバムは正にその呼称に相応しい。スカートとも、カジヒデキとも、オザケンとも、口ロロとも違う2016年の最新のポップスがここに鳴っている。そんな名アルバムに2016年のうちに出会えて幸せなばかりである。

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