下北沢といえば古着とバンドとカレーである。年に1度のカレーフェスティバルともなれば東京中からカレー好きもお祭り好きも集まり、その経済効果は1億円を超えたとも(カレーマン談)
そして下北にあるカレー屋の内装といえば、一癖も二癖もあるのが常である。ムーナのインド感たっぷりの内装といい、マジスパのサブカル然とした内装といい、犬拳堂の移転前のカオス感といい、個性たっぷりのカレーには個性たっぷりの内装なのである。
そんなカレーと個性の町・下北沢の西口、閑静な住宅街にあるド級のシャレオツカレー屋『YOUNG』に行ってきました!
結論から言っておくと、『980円のドライカレーは美しい』ということであります。
下北沢『YOUNG』
このカレー屋、前を通るたびにものすごくいい匂いがする。炒めた玉ねぎの甘さと何かしらのフルーティーが絡み合った最高に『美味しそうな匂い』の主張が半端ない。この匂いを嗅いでしまったらそりゃあカレーが食べたくなるというもの。
住宅街の途中に突然現れるこの『YOUNG』、店先の屋根みたいな部分はスケボーの板みたいだし、外装はトタンの壁でとてもカレー屋には見えない。お店のすぐ脇には花屋が併設されていてそこがまた実におしゃれ。中に入るとこれまたシンプルでおしゃれだし、トイレなんておしゃれすぎて真っピンクでした。POPEYEとBRUTUSの編集部が好きそう。
休日の昼間だったけど適度に空いていてすごく静かだったし、内装がおしゃれなので『休日の昼間』を過ごしてる実感が得られて実にナイス。生憎内装の写真は撮っていないのだけれど、どれくらいおしゃれなのかはこのスプーンを見ていただければ推し量れるだろうと思う。あと写真のテーブルに差し込む『休日の昼間の日差し』が皆さんにも見えるだろうか。この辺の小道具たちが最高の『休日の昼間』を演出してくれる。
そして何より度肝を抜かれたのがこのメニューである。
このメニューを見た瞬間、ここが最高のカレー屋であることを確信した。ドライカレーが980円、そう、ドライカレーが980円なのである。ドライカレーといえば980円だろう、とでも言いたげなこの存在感。ドライカレーの980円という金額がこれほど相応しいと感じたこともない。900円のドライカレーでなく、1200円のドライカレーでもなく、980円のドライカレーなのである。ドライカレーと980円のマリアージュに僕は脱帽した。
僕はドライカレー(980円)を、友人はビーフカレーを注文。今こうして見てみるとチキンとドライのコンボも美味しそうではあるがもはや僕の目には980円のドライカレーしか写っていない。そうして運ばれてきたのがこのドライカレーである。
メニューの写真通りにキッチリと盛り付けられたドライカレー。記事を読み返してみるとドライカレーがゲシュタルト崩壊を起こしている。味付き燻製うずらの卵が実にキュートである。
980円のドライカレーが例外なく素晴らしいようにこのドライカレーもうまい。メニューの写真からもわかっていた通り純然たる欧風カレーで、辛さはあまりなく、甘みと酸味が実に美味しいカレーである。スパイスらしい香りはあまりないものの、炒めた玉ねぎの食欲を誘うあの魔性の香りと、フルーティーさが相まって王道の欧風カレーといった感じ。下北欧風カレーの雄・茄子おやじよりも酸味が強い感じ。
カウンターもあって一人でも気軽に来れそうなのが、原宿・渋谷のおしゃカレー屋と違っていいですよね。
カレーって最高だよね
下北に数多あるカレー屋の中で、抜群にうまいというわけではないが、雰囲気もいいし、静かだし、何より980円のドライカレーである。雑誌に載ったこともあるらしいが昨年のカレーフェスには出店していないプチ穴場のおしゃれカレー屋『YOUNG』。日曜の昼間にオススメです。
あと完全に余談ですが、伊豆出身の『YOUNG』というバンドがとても好きだった。