曖昧なものは曖昧なままに。mabanua『Blurred』が最高に心地良い。

少し青味がかった乳白色の柔らかい布に、ずっと肌が触れているような心地。ゆらゆらと形がなく、終始低温で、浮遊感のある音像。クールだけれども優しさのある耳当たり。

mabanuaの3rdアルバム『Blurred』を聴いている時の感覚を言語化するとすれば、こんな感じだろうか。「Blurred」という文字通り輪郭の曖昧なタイトルを冠したこのアルバム、以前の僕であれば「捉えどころのない音楽」という身もふたもない一言で片付けてしまいそうなものだけれども、こう見えて僕もブロガーとして成長している。

Ovallのドラマーのソロプロジェクト・mabanuaの新譜が最高にクールで捉えどころのない音楽だったので今日はこのアルバムの話をさせてくれ。








mabanua『Blurred』

恥ずかしながらmabanuaというアーティストをこのアルバムで初めて認知したのだけれども、なかなかの傑物である。

Ovallのドラマー、アジカン後藤のソロ・Gotchのバンドメンバーを務める演奏者であり、iriや藤原さくら、米津玄師、LUCKY TAPESといった、テン年代に名を馳せたアーティスト達ののプロデュースを手がけていたり、Toro y MoiやThundercatなど、列強勢との共演もしていたりと、さらにはCM楽曲に劇伴にと、とにかくキャリアが絢爛豪華で幅広い。

そんな彼が、作詞作曲演奏に至るまで、ほぼ全てを自らでこなした6年ぶりのアルバム『Blurred』、その存在は文字通り曖昧で掴み所がない。中でも最も捉えどころがないのは歌詞だろう。

インタビュー記事を読むに、前作までは全て英語で詞を書いていたらしい彼が挑んだ日本語詞。ところがこれまた聴いてても一切頭に入ってこない。一様な定義付けを拒むかのように意味を成さない言葉達。流麗でどこか日本語らしくない響きは薄膜一枚隔てた向こうの世界の言葉のようで、必死に耳を傾けようともその本質は見付からない。唯一なんとなく聴いていてはっきりと景色の浮かぶ『Heartbreak at Dawn』はアジカン後藤の作詞だし、それを知って聴いてみると結構まんま後藤の歌詞だったりする。

思うに、これが彼の本質なのだろうな。

冒頭に書いた「少し青味がかった乳白色の柔らかい布に、ずっと肌が触れているような心地」という表現は我ながら的を射ていると自画自賛してしまうけれども、このクールで実体のない音楽はとにかく底抜けに心地良いのだ。

そして全曲が同じムードで一貫した世界観を作り上げつつも、時折混じる異物。それはどこか人間味の薄い彼のボーカルの中にふと紛れ込んだCharaの歌声だったり、時折ハッとさせられるように鋭い現代的なサウンドだったり。そういった異物がともすれば単調になりがちなこのアルバムを、飽きの来ない絶妙なバランスに仕上げている。

と、ここまで言葉を尽くしてこのアルバムを語ってみたけれども、何も難しいことはない。ただただ何も考えず、底抜けに心地良いこの音楽を聴いて、身体揺らしながら「サイコー」って言ってればいいんじゃないかな。

あと一点、これは強く推奨するのだけれども、このアルバムが気に入ったなら今度はこの漫画とのマリアージュを楽しんでみてほしい。

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クールな肌触りと、少しゾッとするほどの美しさ。ちょっとBL要素があるのでクセは強めだけれども、このアルバムの世界観との相性がバッチリだ。特にM4、M6、M7、M8辺りは抜群だね。

 

mabanua、めちゃめちゃ好きです

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