松岡茉優ヲタク、爆誕である。
正直鑑賞中はほぼほぼニヤケておりました。なんせ可愛すぎる。
くるくると変わる表情、最早素だろと思わせてくれる絶妙な台詞回し、圧倒的な美貌。チャーミングな中にクールさも兼ね備えたあの佇まい。そして彼女のアイデンティティともいえるおでこの産毛。あの部位に名前をつけるなら、さしづめ「茉優毛(まゆげ)」と言ったところでしょうか。
普段あまり映画を観ない僕ですが、彼女の魅力にシビれましたので不慣れながらもレビュー、いかせていただきます!
松岡茉優というタレント
松岡茉優といえば大の『モーニング娘。』ヲタクで有名で、それが高じて遂にはステージに立つという、ヲタ活の最終到着地点を大幅に更新したエピソードが元々大好きなのだが、その時の映像がこれまた最高なのだ。
この身のこなし、目線の使い方、存在感。特に本家すら抑えて余りあるその存在感は、最早アイドルグループとしての調和を乱すレベル。現代にここまでのタレントがいただろうか。いや、いない。歌って踊ってトークもできて、演技も抜群。チャームとクールとユーモアを兼ね備えた生粋の愛されキャラクター。それが松岡茉優だ。
なぜ突然こんな話をしたかといえば、この『勝手にふるえてろ』という作品が彼女のマルチタレントっぷりが余すとこなく発揮された完全な「松岡茉優作品」だったからである。
『勝手にふるえてろ』
あらすじとしては、松岡茉優演じる24歳OLのヨシカが、中学2年生の時から妄想で片想いを続けてきた一と、同じ会社の同期でいちかの事を熱烈に好きな二との間で揺れ動くというお話。下馬評では「妄想の恋愛」みたいなものが主題なのだと聞いていたけれども、実際の感想としてはリアルにちょっとイタい24歳女性を見事に描いた作品といった感じ。「こじらせ系女子」というテーマは若干使い古された感じもあるのだが、そこは松岡茉優の魅力で革新的に面白い作品になっている。
だが敢えて僕は言ってしまおう。ストーリーなんてどうでもいいじゃないか。
僕はそもそも普段からあまり映画を観ない。年間で10本観るか観ないかというところだ(その中には金曜ロードショーで観る『デイ・アフター・トゥモロー』やジブリ作品もカウントされている)。そんな僕が映画の批評だなんておこがましい。ちゃんとしたレビューはFilmarksの皆さんにお任せするとして、僕は僕にしか書けないレビューを書こうじゃないか。となればこの映画で語るべくは、松岡茉優の底なしの魅力に他ならない。僕が松岡茉優の魅力を語れば語るほど、この作品に対する興味も湧いてくるはずだ。
映画を観ない僕が、映画を観ない人の為に、映画を観たくなるためのレビュー、いきます。
お昼寝をするヨシカと来留美
ヨシカが働いている会社では、女性社員が畳の部屋で昼寝(午睡?)をする。そもそもあんな風習どこにあるんだという議論はさておき、ヨシカと来留美(石橋杏奈)が向き合って眠るのを真上から切り取るシーン。その映像の完成度の高さったら比類ない。
そもそも松岡茉優単体であんなにも画が持つのに、作中で唯一友情が成立している来留美と恋バナをしながら眠る2人。あの2人の満たされた穏やかな寝顔の美しい事美しい事。
まつ毛長いね、さわってもいい?
というヨシカのセリフは今作で最も僕の心を揺さぶったパンチラインである。
飲み会に馴染めないヨシカ
金曜日はタモリ倶楽部観るからと飲み会を断ったり、元来コミュニケーションが苦手なヨシカ。来留美が告白するからと来てみた会社の同期との飲み会でも、場の空気に馴染めず店の外で息継ぎをするシーン。
ファックファックファックファックファックファックファックファックファック
心の毒素を全て吐き出すようにひたすら「ファック」と連呼するヨシカ。この「ファ」の発音時に吐き出された空気が彼女の髪をふわふわと揺らすのだが、その髪の揺らぎがこれまた素晴らしい。ある種飲み会あるある的な凡庸なシーンに過ぎないこのワンシーンを、心に深く刻み込まれる最高の映像に昇華させた松岡茉優の可愛さと監督の大九明子に乾杯。
ノリノリで洗い物をするヨシカ
自宅に帰ると部屋着に着替え、タモリ倶楽部を観たり、絶滅した動物をWikipediaで調べたりと1人で好きな事をするヨシカ。作中では何度か、ヨシカが部屋の中で過ごすシーンがあるのだが、このシーンがとにかく好き過ぎた。
Youtubeを観ながらご飯を食べたり、夜中にイチゴ牛乳を飲みながらWikipediaを読み耽ったりと、一人でいる事を謳歌する楽しさみたいなものがこのシーンには詰まっていた。社会に出て働きながら収入を得て、一人で住んでいる自分だけの城で、好きなものを好きな時間に作って食べる。コミュニケーションのほとんどが妄想で完結し、ヨシカの生活がたった一人でも成立している事を象徴しているこのシーン。とにかくあの部屋の中ではヨシカは無敵なのだ。
そしてそれを一番強く感じたのが、僕にとってはヘッドホンをしながらノリノリになって皿洗いをするヨシカだったのだ。
あと何より単純にノリノリの松岡茉優めちゃ可愛い。
雨に打たれながら二と対峙する松岡茉優
今まで色々な松岡茉優の話をしてきたが、僕が選ぶベスト・松岡茉優・エヴァーは、今作最後のシーンで決まり。
今までひたすら一方通行の対人関係を続けてきたヨシカが、初めて他者に心情を曝け出すこのシーン。殴り合いみたいな稚拙な会話もいいのだが、やはりここはヨシカの表情だ。怒りでもなく悲しみでもなく、自分の感情に戸惑っているようなヨシカの表情。そして雨に晒されることで右側だけがウェーブしたこの髪型、そうこの髪型!!!丁度ポスターの松岡茉優がそうなのだが、濡れた右側の髪だけにパーマが現れている。
この松岡茉優には言語を超越した神秘的な美しさを感じる。その美しさたるや僕の理解の範疇を完全に超えていてとても言語化できそうにない。現に今も、脳内のありとあらゆる引き出しをひっくり返し、持てる限りの語彙をかき集めているのだが、どんなボキャブラリーを尽くしてもこの松岡茉優の全てを伝え切る事ができない。
僕の脳裏にはこの映像が焼き付いていて、一生このヨシカを脳内に召喚し続けるのだろう。
この最高峰の松岡茉優を脳に収めるだけでも、この作品を観る価値があるというものだ。
総評
一緒に観た友人は、ストーリーや展開などに不満がありそうだったものの、僕はそういうのよく分からないし松岡茉優が持つエネルギーや魅力が素晴らしすぎて100点満点である。松岡茉優が若手女優の中で一つ頭抜けているというのも完全に頷けるし、この作品によって僕のような松岡茉優ヲタクが量産されたのは間違いない。
ヨシカというキャラクターの喜怒哀楽を余す事なく表現しきり、もはやヨシカ役は松岡茉優以外考えられない。それどころかヨシカ=松岡茉優なんじゃなかろうかとすら思わせる名演。
まだ観ていない方は、松岡茉優の魅力に骨抜きにされるのを覚悟して観にいってください。
『勝手にふるえてろ』と共鳴するカルチャー
単純にストーリーだけに目を向けるなら、社会やコミュニティに馴染めなかった、謂わばちょっとズレてる人達へのレクイエム的な物語。そういう点で言えば、最果タヒの詩はかなり近いなと。
現代の孤独みたいなものを切り取る感じが『勝手にふるえてろ』で描かれる一人よがりな感じと通ずる部分がある。
あとは星野源『ばらばら』の主題なんてまんま象徴的だ。
あとは妄想の恋愛っていう点で言ったら、アニメの『輪るピングドラム』あたりのテーマとはドンピシャで共鳴している。
あとは大森靖子の歌とかドンピシャなんだろうけれども、いかんせん僕あんま大森靖子聞かないからわからないんですよね。
『勝手にふるえてろ』は最高
一緒に飲みたいタレントランキング、堂々の第1位。一緒に観た友人とも、何とかして松岡茉優とお酒の席をご一緒できないものかと頭を悩ませたがどうにもならなかった。チカラが欲しい。