ファミマ – 『五目あんかけ皿うどん』

ファミマ – 『五目あんかけ皿うどん』

惹かれ合う男女がイチャイチャするだけのラブストーリーなど退屈そのものである。全ての物語に起承転結が求められるように、いやそれ以上にラブストーリーには障害や問題が立ちはだかるべきなのである。

僕とこの五目あんかけ皿うどんとは一度その運命を引き裂かれながら、今日再び相見えたのである。

ああ、皿うどん。もうどこへも行かないで。



僕のオフィスビルの1階にはファミマが入っており、お昼など時間が無い時にはそこで弁当やパンを買うのが常である。そんな折、僕と皿うどんは出会った。元来麺がパリパリの五目あんかけ焼きそば好きの僕である。街の中華屋に行った時には黄金色に揚げられたパリパリの麺にワクワクしながら五目あんかけ焼きそばを頼み、出てきたふわふわ食感の中華麺に落胆した回数は両手の指では数え切れない。そんな僕がこの皿うどんにハマるのに、訳も何も無かった。

 

それからというもの、僕は皿うどんを食べた。来る日も来る日もファミマに行き、脇目も振らずに皿うどんを買って食う日々。500円というリーズナブルな値段ながら、ボリューミーで食べ応えあり、チープながらも駄菓子のような美味しさあり。皿うどんの虜となった僕はもう今後会社にいる時のお昼は皿うどん以外食べないんじゃないかなと思うくらい食べた。会社の先輩にお昼に誘われた時は止むを得ず外にランチに行き、その分翌日は一心不乱に食べた。11:30くらいになるとお腹が空いてきてもう皿うどんの事しか考えられなくなる。毎日が楽しかった。幸せだった。

だが、そんな日々は長くは続かない。

 

忘れもしないあれはやたらと寒いある日。いつものようにファミマに行き最早パッケージも見ずにレジに行く。温めてもらいオフィスに戻って食べてみると、いつもと何か味が違う。よく見るとパッケージには『長崎ちゃんぽん風 皿うどん』などと書いてある。目を疑った。僕の最愛の『五目あんかけ皿うどん』はどこに行ったのだ。慌ててファミマのHPを見る。HPには五目あんかけも長崎ちゃんぽんも載っている。「なぁんだ、ちゃんとラインナップにはあるじゃない。今日はたまたま売り切れていていつもとは違う長崎ちゃんぽんを選んでしまっただけサ。なぁに、たまには違う味を楽しむのも新鮮でいいじゃないカ」と思いながら長崎ちゃんぽん風 皿うどんを食べた。五目あんかけには遠く及ばないものの、長崎ちゃんぽん風もどうしてなかなか悪くはなかった。けれども、やはり僕が好きなのは五目あんかけの方なのだ。明日からはまた五目あんかけ漬けの日々に戻ろう。呑気な僕は深くは考えなかった。

そしてその日以来、五目あんかけ皿うどんはファミマから姿を消した。

ファミマには何度も足を運んだし、皿うどんが並んでいた棚の皿うどんを全部確認したりもした。全部長崎ちゃんぽん風だった。頭では山崎まさよしの『One more tme, One more Chance』がずっと流れていた。けれども五目あんかけ皿うどんは帰ってこなかった。ファミマ上層部は何を考えているのか。愚策にもほどがある。

それから一ヶ月ほど経ち、その時には僕はもう五目あんかけ皿うどんの事はほとんど忘れてしまっていた。オフィスの周りにはたくさんの美味しいランチがあるし、隣のデパートでは豪勢な弁当も売っている。皿うどんが無ければファミマに行くこともないのだ。

そんなある日。

 

朝から忙しい1日だった。ランチを食べる時間もなく、15時になろうかという時間に僕は昼飯を求めてオフィスを出た。ふとファミマが目に入った。「あの娘いるかな。」そんな気持ちだったと思う。棚を前にして息を呑んだ。皿うどんが、いた。お値段据え置き、パッケージだって昔と何も変わっちゃいない。

久しぶりに食べる皿うどんは、記憶の中の味と変わらず、美味しかった。

ラブストーリーに求められる起承転結を、僕と皿うどんは演じきったのである。

おかえり。これからもよろしく、『五目あんかけ皿うどん』

 

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